「……あれ、5話で『興味ない』って突き放してなかった?」
6話をスクロールする。攻めが受けのために弁当を作っている。口調は合っている。名前も正しい。でも前話との距離感が一夜で消えた。壁を作っていたキャラが、理由もなく甲斐甲斐しい。
BL長編の連載をAIに書かせると、設定より先に「2人の距離感」が破綻する。1話ごとにプロンプトを渡し直すとき、関係性の現在地が抜け落ちるのが原因。3つのシートで管理すれば、10万字を走り切れる。
ステップ1: 関係性アークを5段階で数値化する
BL長編は心理距離がストーリーの骨格になる。最初に距離変化を5段階で設計し、各章の位置を固定する。
あなたはBL小説の構成アドバイザーです。
以下のキャラ設定をもとに、関係性アークを5段階で設計してください。
【5段階】
1. 警戒(距離10): 互いを「面倒な相手」として認識
2. 意識(距離7): 相手の行動が気になり始める
3. 接近(距離4): 物理的・心理的に近づくが、本人は否認
4. 亀裂(距離8に戻る): 近づいたからこそ生まれる恐怖・拒絶
5. 着地(距離2): 感情を認める。完全な解決でなくてよい
各段階に以下を書くこと:
- 距離を動かすイベント
- 攻め・受け各自の心理
- 伏線を1つ以上
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攻め: 篠宮 尋(38歳・税関職員)
——穏やかな笑顔で相手の嘘を見抜く。私生活は空。
受け: 辰巳 律基(25歳・古物商)
——海外仕入れのアンティークを売る。口が悪いが目利きは確か。
関係性: 税関審査で毎回荷物が引っかかり、顔見知りに。
肝は「距離を数値で指定する」こと。AIは「だんだん仲良くなる」を直線的に解釈する。数値の上下を明示すれば、4段階目で距離が戻る——すれ違いが構造に組み込まれる。
ChatGPTでBL長編プロットを作る方法では5段階のプロット構造を解説した。関係性アークと組み合わせると、プロットと感情の両輪で連載を支えられる。
ステップ2: 章末に「状態管理シート」を更新する
1章書き終わるごとに以下を更新しAIに渡す。これを省くと3章目で関係性が消える。
【状態管理シート — 第{章番号}章 終了時点】
■ 関係性の距離: {現在の数値}(前章比: {+/-数値})
■ {攻めの名前}:
- 感情: {今の心理状態}
- 新たに知ったこと: {この章で得た情報}
- 隠していること: {受けに明かしていない秘密}
■ {受けの名前}:
- 感情: {今の心理状態}
- 新たに知ったこと: {この章で得た情報}
- 隠していること: {攻めに明かしていない秘密}
■ 伏線:
- {伏線1}: {状態(未提示/提示済み/回収済み)}
状態管理シートの有無で、5章目の出力を比べる。
状態管理なし(before) 篠宮は辰巳の隣に腰を下ろした。「今日の荷物は問題なさそうだな」と穏やかに笑う。辰巳は「当たり前だろ」と返しながら、少しだけ口元が緩んだ。
状態管理あり(after) 篠宮はカウンター越しに書類を広げた。辰巳と目が合う。合って、逸らされる。先週、空港のロビーで辰巳の電話を聞いた——「仕入れ先を変える」。意味もなく胸が詰まったことを、篠宮はまだ処理できていない。「……荷物、出してくれ」。声が硬い。辰巳が一瞬だけ眉を動かした。
▶ 変えたのは"前章までの心理的蓄積をシートで引き継いだ"だけ。
情報設計の観点で見ると、状態管理シートはAIに「篠宮はまだ自分の感情を処理できていない」という情報層を渡している。読者は硬い声と眉の動きから感情を補完する。人間が自分の頭の中で感情を組み立てるから、没入が深まる。
このテンプレートの全パターンと記入例付きの使い方はBL Prompt Kit(BOOTH)で公開している。
ステップ3: 伏線を「回収タイミング表」で追跡する
BL長編の伏線は「関係性に直結する小道具」が多い。小物の回収漏れが読者の信頼を壊す。
AI小説の設定忘れを防ぐ「設定リマインダー」の再注入テクニックに加えて、伏線を表で管理する。
| 伏線 | 提示 | 回収予定 | 状態 | |------|------|----------|------| | 辰巳のブレスレット(売り物なのに外さない)| 2章 | 9章 | 未回収 | | 篠宮が検査台に忘れた私物の鍵 | 4章 | 7章 | 未回収 |
この表を状態管理シートの末尾に貼り、章ごとに更新する。AIは「未回収」のフラグがある伏線を意識するようになる。
まとめ
- 関係性アークを5段階で数値化し、直線的な進行をさせない
- 状態管理シートを章末に更新し、心理的蓄積を引き継ぐ
- 伏線回収表を毎章確認し、回収漏れを防ぐ
この3シートをテンプレートとして運用すれば、10万字のBL長編連載でも破綻しない。テンプレートの全パターンと3ジャンル分の記入例はBL Prompt Kit(BOOTH)に収録している。設定を一元管理したい場合はキャラノート(β)も確認を。
CharaNote開発日記
「AIに口調を守らせたい」——この記事で紹介したテンプレートを、もっと直感的に管理できるツールを作っています。
CharaNoteは、キャラ設定シートをAIが読める形式で保存し、どのAIツールにもワンクリックで渡せるキャラ管理アプリです。現在クローズドβに向けて開発中。
進捗や先行アクセスの案内はCharaNote公式で。