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AIで小説を書くための実践ガイド

2026-04-04AI BL シチュエーション 100選 プロンプト

AI BLシチュエーション100選の作り方|5カテゴリ×プロンプトで量産する

「また雨宿りから始まってる……」

BLのシチュエーションをAIに出させると、3回目あたりから同じパターンが回り始める。雨宿り。エレベーター。屋上。書店の同じ棚に手が伸びる。AIが「BLシチュエーション」で返す引き出しは、思ったより浅い。

問題は量ではなく構造だ。「BLのシチュエーションを100個出して」と頼むと、同じカテゴリの焼き直しが100個並ぶ。5つのカテゴリに分けて各カテゴリのフレームを渡せば、AIはカテゴリごとに異なる方向へ発想を広げる。

5カテゴリで分けると「同じ話」が消える

BLのシチュエーションは、物語のどの段階を描くかで5つに分かれる。

  1. 出会い — 初めて相手を「意識」する瞬間
  2. 接近 — 距離が縮まるきっかけ
  3. すれ違い — 関係が揺らぐ場面
  4. 転機 — 関係が決定的に変わる瞬間
  5. 日常化 — 関係が成立した後の「二人だけの習慣」

「シチュエーションを100個」と丸投げすると、AIは「出会い」に偏る。出会いが最もバリエーションを出しやすいからだ。カテゴリを明示すると、各20個ずつ均等に生成される。

以下が5カテゴリの具体例を一気に生成する完成形プロンプト。

あなたはBL小説のプロット設計者です。
以下の5カテゴリそれぞれに対して、BL小説のシチュエーションを各4個、合計20個生成してください。

【カテゴリ】
1. 出会い: 二人が初めて相手を「意識」する瞬間。物理的な初対面でなくてもいい
2. 接近: 距離が縮まるきっかけ。共同作業、偶然の接点、片方だけが意識している状態
3. すれ違い: 誤解、嫉妬、価値観の衝突、一方的な自己犠牲
4. 転機: 関係が決定的に変わる瞬間。告白に限らない(共通の危機、秘密の共有、沈黙の了解)
5. 日常化: 関係成立後の場面。マンネリではなく「この二人だけの習慣」

【条件】
- 各シチュエーションは「場所 × 状況 × 感情のトリガー」の3要素で構成する
- 場所は毎回変える(同じ場所を2回使わない)
- 「カフェ」「バー」「書店」「屋上」は使用禁止
- 各シチュエーションを1行(50字以内)で書く
- 20個のうち少なくとも3個は、一般的なBLではあまり見ない設定を含める

【出力形式】
カテゴリ名の見出しの下に番号付きリストで。各項目の末尾に(場所, 状況, 感情トリガー)を括弧で明記する。

このプロンプトを3回実行するだけで60パターン。条件の「使用禁止リスト」を毎回変えれば、重複なしで100を超える。AI小説のプロットを自動生成する方法でも使った「カテゴリ分割」の手法を、シチュエーション単位に細分化した形だ。

シチュエーションを「小説の冒頭」に変換する

100個のシチュエーションを出しても、それだけでは書き始められない。シチュエーションを小説の冒頭に変換するステップが必要だ。

例として「出会い」カテゴリの1つを冒頭に変換する。

シチュエーション: ボルダリングジムの壁の前。深夜の空いた時間帯、SNSで推しのグッズを交換した相手が隣のルートを登っていた。

あなたはBL小説家です。以下のシチュエーションから、小説の冒頭シーン(800字)を執筆してください。

【シチュエーション】
場所: 深夜のボルダリングジム(客は3人だけ)
状況: 推しのアクスタを郵送でトレードした相手と、偶然ここで遭遇する。互いにアイコンしか知らない
感情トリガー: 相手が壁を登れずにいる姿が、SNSの強気な文面と全然違う

【キャラクター】
- 喜多 圭吾、32歳、プロゲーマー。大会では冷酷な判断で知られるが、運動は壊滅的。登れない壁の前で3分間固まっている
- 古賀 椋、23歳、テーマパークキャスト。仕事では完璧な笑顔を作るが、プライベートでは人を観察する癖がある

【演出ルール】
- 台詞から始める
- 感情を説明しない。動作と視線だけで表現する
- 二人の「SNS上の印象」と「実物」のギャップを、地の文で直接比較しない。読者に気づかせる

「……あの、『KT_zero』さん、ですか」 背中に声がかかった瞬間、喜多の右手がホールドから滑った。壁にへばりついたまま振り返る余裕はない。爪先がスタンスを探って、見つけられず、マットの上に落ちた。尻もち。高さ1メートル20センチ。 声の主が、笑いを噛み殺す気配がした。 「……誰」 「トレードした者です。アクスタの。アイコン、モンストのやつ」 喜多はマットに座ったまま見上げた。パーカーのフードを被っていて顔の上半分が影だが、口元だけが妙に整っている。フードの隙間からテーマパークの年パスが覗いていた。

この冒頭には「ギャップ」が2つ仕込まれている。プロゲーマーなのに壁から落ちる喜多と、爽やかなキャストなのに深夜のジムで人を観察している古賀。ギャップはキャラの奥行きを一瞬で読者に伝える装置だ。

以下の空テンプレートで、自分のシチュエーションを冒頭に変換できる。

あなたはBL小説家です。以下のシチュエーションから、小説の冒頭シーン({字数}字)を執筆してください。

【シチュエーション】
場所: {場所(五感情報を1つ以上)}
状況: {二人が同じ場所にいる理由}
感情トリガー: {相手を「意識」するきっかけ}

【キャラクター】
- {名前A}、{年齢}歳、{職業}。{外見または行動の特徴1つ}
- {名前B}、{年齢}歳、{職業}。{外見または行動の特徴1つ}

【演出ルール】
- 台詞から始める
- 感情を説明しない。動作と視線だけで表現する
- {この場面で「見せたいギャップ」を1つ指定}

記入例は「出会い×ボルダリングジム」の1パターンだけ。5カテゴリすべての記入例と「すれ違い」「転機」の演出バリエーションはBL Prompt Kit(BOOTH)のフルキットに収録している。

なぜ「場所×状況×感情トリガー」の精度がBLの質を決めるのか

「雨宿り」「閉じ込め」とだけ渡すと、AIは「密室で距離が近くなる」という表面的な展開しか返さない。「ボルダリングジムの壁の前。推しのグッズをトレードした相手と偶然遭遇。SNSの印象と実物のギャップ」まで分解して渡すと、出力精度は劇的に変わる。

人間の脳は具体的な感覚情報に反応する。「雨宿り」は概念だが、「チョークの粉が鼻の奥に入る匂い。背中に汗が流れる感触。マットに落ちた振動」は身体感覚だ。読者の脳が自分の身体の記憶と結びつけた瞬間、物語の中に「いる」感覚が生まれる。

シチュエーションの3要素を分解してプロンプトに渡す手法は、AIに「概念」ではなく「感覚」で書かせるための設計だ。場所が五感を提供し、状況が二人の力関係を決め、感情トリガーが物語を動かす。この3点が揃えば、100個のシチュエーションはそれぞれ別の体感を持つ。

夢小説をChatGPTで書くガイドでも同じ分解手法が使える。キャラの口調や設定を複数のシチュエーションで使い回すならキャラノート(β)でシートを管理すると、場面が変わっても一貫性を保てる。

まとめ

  • BLシチュエーションの「100選」は量の問題ではなく構造の問題。5カテゴリ(出会い・接近・すれ違い・転機・日常化)に分けてAIに渡せば、同じ話の焼き直しが消える
  • 各シチュエーションを「場所×状況×感情トリガー」の3要素に分解することで、AIが概念ではなく五感で書くようになる
  • 空テンプレートの {} を埋めて3回実行するだけで、重複なしに100パターンを超える

5カテゴリすべての記入例と応用パターンはBL Prompt Kit(BOOTH)で。

CharaNote開発日記

「AIに口調を守らせたい」——この記事で紹介したテンプレートを、もっと直感的に管理できるツールを作っています。

CharaNoteは、キャラ設定シートをAIが読める形式で保存し、どのAIツールにもワンクリックで渡せるキャラ管理アプリです。現在クローズドβに向けて開発中。

進捗や先行アクセスの案内はCharaNote公式で。