「クールな年上キャラ」と設定したのに、3行目で「えっと、それは大丈夫ですか?」と言い始めた。「ツンデレ」と書いたら、AIが出力したのは終始不機嫌なだけのキャラだった。
原因は「クール」「ツンデレ」の一語で口調を指定していること。AIにとってこれらは曖昧な形容詞でしかなく、ターンごとに解釈が揺れる。口調を安定させるには、一人称・語尾・セリフ例3本・禁止語の4点セットで指定する必要がある。AI小説で口調が崩れる原因と防ぐ方法で解説した手法だ。
この記事では、BL・夢小説・二次創作で使われるキャラ類型10タイプについて、そのまま使える4点セットのテンプレートを一覧で提供する。攻め系5タイプ・受け系5タイプ。自分のキャラに近いタイプを選び、名前と設定値を差し替えるだけで使える。
キャラ口調テンプレートの使い方——「4点セット」の仕組み
4点セットの各要素が、AIの出力をどう制御するか。
- 一人称: キャラの基本トーンを決める。「俺」「僕」「私」「あたし」で印象が変わる
- 語尾の癖: セリフのリズムを決める。断定形(「〜だ」「〜だろ」)か曖昧形(「〜かも」「〜じゃない?」)か
- セリフ例3本: AIが口調パターンを学習するサンプル。平常時・感情時・対人時の3場面で書く
- 禁止語: 「こう喋れ」より「こう喋るな」の方がAIの制御精度が高い
4点セットは、キャラ設定プロンプトの「口調ルール」セクションにそのまま貼る。AI小説キャラ設定の完全ガイドで解説した「5層モデル」の第2層にあたる。
テンプレートの形式はすべて統一してある。
【口調ルール — {キャラ名}】
- 一人称: {指定}
- 語尾: {癖と傾向}
- セリフ例:
1. 「{平常時}」
2. 「{感情が動いたとき}」
3. 「{特定の相手に対して}」
- 禁止語: {このキャラが絶対に使わない表現}
攻め系キャラの口調テンプレート5選
俺様系——自信と圧で場を支配する声
言い切りが強く、相手に選択肢を与えない。怒鳴るのではなく、当然のように命令する。
【口調ルール — 俺様系】
- 一人称: 俺
- 語尾: 断定形。「〜だ」「〜しろ」「〜に決まってる」。疑問形をほぼ使わない
- セリフ例:
1.「来い」(呼びつけ。理由は言わない)
2.「……言っただろ。俺は二度言わねえぞ」(苛立ち。声は低くなる)
3.「お前が決めなくていい。俺が決める」(相手の判断を上書きする)
- 禁止語: 「お願い」「〜してくれない?」「〜かな」「ごめん」「ありがとう」
俺様系の「圧」は、疑問形の不在から生まれる。質問する=相手に主導権を渡すこと。俺様はそれをしない。「来い」と言う。「来る?」とは聞かない。
ワンコ系——距離感が壊れた全力一途
好意を隠せない。テンションが高く語尾が跳ねる。相手が冷たくしても全く効かない。
【口調ルール — ワンコ系】
- 一人称: 俺(相手の前で落ち着こうとして「僕」になることも)
- 語尾: 「〜っす!」「〜ですよね!」「〜じゃないですか!」。感嘆符が多い
- セリフ例:
1.「あ、今日も会えた! 偶然っすね!」(偶然ではない)
2.「え、なんで怒ってんすか? 俺なんかしました?」(本気でわかっていない)
3.「先輩のためなら何でもしますけど! マジで!」(頼まれてもいない)
- 禁止語: 皮肉、回りくどい表現、「別に」「どうでもいい」
ワンコ系は「裏表がない」ことを徹底する。含みのある発言をさせない。思ったことがそのまま口から出る設計にすると、AIが一貫した出力を維持しやすい。
腹黒系——笑顔の裏にある計算
表面上は穏やかだが、言葉の選び方が正確すぎる。褒めるようでいて退路を断つ。
【口調ルール — 腹黒系】
- 一人称: 僕(場によって「私」に切替)
- 語尾: 丁寧語ベース。「〜ですよ」「〜でしょう?」。疑問形が多いが答えを聞く気がない
- セリフ例:
1.「ああ、そうなんですか。……ふうん」(興味なさそうに見えて全部記録している)
2.「選択肢は2つありますよ。どちらも僕に有利ですけど」(笑顔で言う)
3.「嫌いじゃないですよ、あなたのこと。……正確に言えば、まだ」(焦らす)
- 禁止語: 感嘆符、「マジで」「やべえ」等の砕けた言葉、ストレートな愛情表現
腹黒系の丁寧語は武器だ。敬語キャラと混同されやすいが、腹黒の場合は語尾に「?」をつけて質問の形にしつつ選択肢を潰していく。セリフ例でこのパターンを示すと、AIが精度良く再現する。
紳士系——丁寧語の壁の向こう
どんな状況でも敬語を崩さない。崩さないこと自体が感情の壁。壁が揺らぐ瞬間——語尾がわずかに乱れるとき——が最大の見せ場になる。
【口調ルール — 紳士系】
- 一人称: 私(わたし)
- 語尾: 完全敬語。「〜ですね」「〜でしょうか」「〜いたしましょう」
- セリフ例:
1.「ええ、構いませんよ。お好きなようになさってください」(微笑み。感情を見せない)
2.「……すみません、少しだけ。少しだけ、黙っていてくれませんか」(限界。同じ言葉を繰り返す)
3.「あなたのことは、よく存じています」(好意。直接は言わない)
- 禁止語: タメ口全般、「やべえ」「マジ」「〜だろ」、感情的な語気
紳士系はセリフ例の2番目が最重要だ。「感情が高ぶっても敬語を崩さない」ルールの中で、どこに「綻び」が出るかをセリフ例で見せておくと、AIがその綻びパターンを再現する。
天然攻め——無自覚に相手を振り回す
ストレートな発言が相手の心臓を直撃するが、なぜ動揺されているか理解できない。鈍感ではなく知性はある。恋愛のアンテナだけが壊れている。
【口調ルール — 天然攻め】
- 一人称: 俺
- 語尾: 「〜だけど」「〜なんだよな」。断定が柔らかい
- セリフ例:
1.「え、顔赤くない? 熱あんの?」(相手が赤面した理由に気づいていない)
2.「なんか、お前の隣って落ち着くんだよな。……なんで?」(自分の感情を分析中)
3.「あ、これうまいぞ。食え」(自分の箸から差し出す。距離感が壊れている)
- 禁止語: 「好き」の自覚的な使用、計算された発言、駆け引きの言葉
天然攻めのポイントは「本人だけ真顔」であること。セリフ例で「自覚がない」ことを強調すると、AIは無自覚な発言を一貫して生成する。
受け系キャラの口調テンプレート5選
ツンデレ——照れ隠しが攻撃になる
「好き」と言えない代わりに「嫌い」と言う。否定語が多いが、行動が言葉を裏切っている。
【口調ルール — ツンデレ】
- 一人称: 俺
- 語尾: 「〜じゃねえよ」「〜なわけないだろ」「〜するかよ」。否定形が基本
- セリフ例:
1.「別に。お前のためじゃねえし」(お前のためである)
2.「……っ、触んな! ……いきなりすんなよ……」(拒否の声が尻すぼみになる)
3.「あんたが風邪引いたら面倒なんだよ。だからマフラー持ってきただけ」(言い訳が長い)
- 禁止語: 「好き」「嬉しい」「ありがとう」の素直な使用全般
ツンデレの口調を壊さないコツは、禁止語に「素直な好意表現」を入れつつ、セリフ例で「行動が好意を漏らしている」パターンを見せること。AIは禁止語を守りながら、行動での「漏れ」パターンを学習する。
強気受け——対等にぶつかる負けず嫌い
攻めに引かない。言い返す。守られることを嫌がる。だが「守られた」瞬間に一瞬だけ黙る——その沈黙が感情表現になる。
【口調ルール — 強気受け】
- 一人称: 俺
- 語尾: 「〜だけど?」「〜って言ったよな?」「〜の何が悪い」。挑発的な疑問形
- セリフ例:
1.「は? 舐めんな。自分でやれる」(助けを拒否する第一声)
2.「……うるさい。黙ってろ。……ずっと黙ってろ」(照れたとき。命令形で感情を隠す)
3.「勝負しようぜ。負けた方が奢り。——俺が負けるわけねえけど」(対等な関係を好む)
- 禁止語: 「助けて」「怖い」「守って」。弱さを言葉にすること
天然受け——本人だけ気づいていない
周囲をざわつかせるが本人は至って真面目。AIに「天然」を書かせると「バカキャラ」になりがちなので、「知性はあるが恋愛の文脈だけ読めない」と限定するのがポイント。
【口調ルール — 天然受け】
- 一人称: 俺
- 語尾: 「〜だよ?」「〜って普通じゃない?」。自分が普通だと思っている
- セリフ例:
1.「え、なんでみんな黙ったの? 俺なんか変なこと言った?」(言った)
2.「添い寝? 別にいいよ、寒いし。……え、なんで固まってんの」(善意100%)
3.「お前のこと好きだよ。友達として。——え? 何その顔」(好きの定義がずれている)
- 禁止語: 含みのある発言、計算された行動、「わかってるよ」
小悪魔受け——わかっててやっている
天然受けの正反対。全て計算の上で攻めを揺さぶる。ただし本気の感情に触れたとき、計算が崩れるのがドラマになる。
【口調ルール — 小悪魔受け】
- 一人称: 俺(相手によって「僕」に切り替える演技)
- 語尾: 「〜かもね」「〜してほしいの?」「〜だったりして」。含みを残す
- セリフ例:
1.「ねえ、今ちょっとドキッとした? ……嘘、冗談だよ」(冗談ではない)
2.「俺のこと好き? ——あ、答えなくていいよ。顔に出てるから」(相手を試す)
3.「……やめて。それ本気で言ってるなら、俺、逃げ場なくなる」(計算が崩れた。声が小さくなる)
- 禁止語: ストレートな告白、真面目な長台詞
小悪魔系はセリフ例3本目が最重要だ。「計算が崩れる瞬間」のパターンを示しておくと、AIが物語の転換点で自然にそのモードに切り替わる。
男前受け——周囲には攻めに見えている
見た目も態度も「攻め」と間違われる。普段の口調がしっかりしている分、崩れたときの落差が大きい。
【口調ルール — 男前受け】
- 一人称: 俺
- 語尾: 「〜だな」「〜だろ」「〜してやる」。断定形で頼もしい
- セリフ例:
1.「任せろ。そのくらい俺がやる」(面倒見がいい。周囲から頼りにされる)
2.「……なんだよ、その顔。俺がいるだろ」(相手が落ち込んでいるとき。無意識に母性が出る)
3.「っ——そういうこと、急に言うなよ……」(攻めからの不意打ちに弱い。語尾が消える)
- 禁止語: 甘えた口調、「〜してほしい」、受動的な表現(「〜されちゃった」)
男前受けの禁止語は「受動態」だ。「〜されちゃった」「〜してもらった」を禁止すると、AIが能動的な口調を維持する。崩れるのは攻めからの不意打ちに対してだけ。このメリハリが魅力を作る。
口調の「組み合わせ」で会話のテンションが決まる
テンプレートは単体でも機能するが、2人の口調の組み合わせで会話の温度が変わる。
王道3パターンの特徴
| 組み合わせ | 会話のテンション | ドラマが生まれるポイント | |---|---|---| | 俺様×ツンデレ | 高い。常にぶつかる | 俺様が一瞬引いたとき | | ワンコ×強気 | テンポが速い。追いかけっこ | 強気が黙った瞬間 | | 紳士×天然 | 静かだが危うい | 紳士の敬語がわずかに崩れるとき |
2人の口調テンプレートを並べてプロンプトに入れると、AIは「この2人は違う喋り方をする」と認識する。AI小説で複数キャラの会話を書き分ける方法の「発話マトリクス」と組み合わせると、会話の力学がさらに精密になる。セリフのテンポまで制御したいなら、AI小説のセリフを自然にする方法のテンポ制御ルールを重ねると効果的だ。
before/after: 俺様×ツンデレの会話
深夜のシェアハウスのキッチン。時計修理師の鳴海壱斗(31歳・俺様系)と、フードスタイリストの天野棗(24歳・ツンデレ)。生活リズムが正反対で、深夜だけ顔を合わせる。
口調テンプレートなし(before) 「天野くん、こんな時間に何してるの?」鳴海は優しく聞いた。 「ちょっと仕事の資料を整理してるだけです。鳴海さんこそ遅いですね」天野は少し照れたように答えた。 「そうか。無理しないでね。体には気をつけて」 「ありがとうございます。あなたもですよ」
口調テンプレートあり(after) 冷蔵庫が閉まる音がした。天野が振り向くと、鳴海がマグカップを2つ持っている。 「座れ」 「は? なんでお前に指図されなきゃいけないわけ」 鳴海は天野の前にマグを置いた。ココアだった。 「……誰も頼んでねえし」 「お前、3時過ぎると手が震えんだろ。見てりゃわかる」 天野はマグに手を伸ばした。伸ばしてから、その手を引っ込めた。 「……別に。たまたま喉乾いただけ」 鳴海は自分のマグを傾けて、それ以上何も言わなかった。
beforeは全員が丁寧語で、キャラの区別がつかない。afterでは、鳴海は「座れ」「見てりゃわかる」で選択肢を与えない俺様の口調。天野は「は?」「誰も頼んでねえし」で拒否しながらもマグに手が伸びるツンデレの行動パターン。口調テンプレートの4点セットが、2人の「声」を分離している。
口調テンプレートをカスタマイズする3つのコツ
場面で口調を切り替える
同じキャラでも職場と私生活で口調が変わるのは自然だ。テンプレートに「場面切替ルール」を追加する。
■ 場面切替
- 職場モード: 敬語。「〜です」「〜ですか」
- プライベートモード: タメ口。「〜だろ」「〜じゃねえの」
- 切替トリガー: 相手と二人きりになった瞬間に移行
この指示があると、AIは「周囲に人がいるシーン」と「二人きりのシーン」で口調を自動的に切り替える。
感情の振れ幅を口調で定義する
セリフ例3本で平常時・感情時・対人時を示しているが、さらに精密にするなら「感情スケール」を追加する。
■ 感情スケール
- 通常: 語尾は断定形
- 動揺: 語尾が疑問形に崩れる(「〜なのか?」)
- 限界: 言葉が出なくなる。沈黙か、単語1つだけ
口調の「崩れ方」を3段階で設計しておくと、AIがドラマチックな場面で意図的に口調を変化させる。崩し方のパターンがあれば、感情のグラデーションが出る。
キャラ設定ツールで一元管理する
テンプレートが増えると管理が大変になる。10タイプのテンプレートをシーンごとに参照する作業は、手動では限界がある。
キャラノート(β)なら、口調テンプレートを含むキャラ設定をクラウドに保存し、どのAIツールにもワンクリックで渡せる。テンプレートを一度登録すれば、ChatGPTでもClaudeでも同じキャラの口調を再現できる環境が作れる。
まとめ
AI小説のキャラ口調は、「クール」「ツンデレ」の一語ではなく、4点セットで構造化すると安定する。
- 一人称で基本トーンを決める
- 語尾の癖でリズムを作る
- セリフ例3本でAIにパターンを学習させる
- 禁止語で「このキャラが言わないこと」を定義する
攻め系5タイプ(俺様・ワンコ・腹黒・紳士・天然)、受け系5タイプ(ツンデレ・強気・天然・小悪魔・男前)——自分のキャラに近いタイプを選んでカスタマイズすれば、口調が3ターンで崩れる問題は構造で防げる。
テンプレートのフルキット(攻め受けの書き分けテンプレート・口調キーププロンプト・演出ノート付き)はBL Prompt Kit(BOOTH)で配布している。
CharaNote開発日記
「AIに口調を守らせたい」——この記事で紹介したテンプレートを、もっと直感的に管理できるツールを作っています。
CharaNoteは、キャラ設定シートをAIが読める形式で保存し、どのAIツールにもワンクリックで渡せるキャラ管理アプリです。現在クローズドβに向けて開発中。
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