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2026-04-03AI小説 語尾 同じ 直し方

AI小説の語尾が同じになる問題を直す方法——「ました」の連鎖を断ち切る5つのプロンプト技術

AI小説の語尾が同じになる問題を直す方法——「ました」の連鎖を断ち切る5つのプロンプト技術

ChatGPTに3,000字のシーンを書かせた。読み返す。

桐島は動物病院の裏口から出ました。空は曇っていました。フードトラックの前に立ちました。湊がカレーの鍋をかき混ぜていました。桐島はいつものチキンカレーを注文しました。湊はスプーンを置きました。

6文連続で「〜ました」。目が滑る。内容は悪くないのに、文末が全部同じだと読んでいて息が詰まる。

この「語尾の固定化」はAI小説で最も頻繁に起きる問題の一つで、しかも直し方が体系化されていない。「語尾を変えて」と指示しても、AIは別の語尾で再び固定するだけ。

原因はAIの文章生成の仕組みにある。仕組みがわかれば、プロンプトの構造で防げる。

AIが同じ語尾を繰り返す構造的な理由

AIは文章を1トークン(おおむね1語)ずつ生成している。直前の数文が「〜ました。」で終わっていると、次の文末も「〜ました。」になる確率が上がる。これは自己強化ループ——一度パターンにはまると、そのパターンが加速する。

もう一つの原因は「安全な選択」への収束。AIにとって「〜ました」「〜だった」は文法的に破綻しにくい語尾であり、特に指定がなければこれらの「無難な終わり方」に落ち着く。人間の文章にある体言止め、倒置、余韻を残す終わり方は、AIにとっては「リスクのある選択」になる。

つまり語尾の繰り返しはバグではなく、AIの設計上の特性。対処するには「安全な選択をさせない」プロンプト設計が必要になる。

語尾固定の5パターンと、パターンごとの処方箋

AI小説で発生する語尾固定を分類すると、5つのパターンに整理できる。自分の原稿がどのパターンに該当するかを特定するだけで、対策の精度が上がる。

パターン1:「〜ました」の丁寧語ループ

最も多い。「です・ます」調で書かせると、地の文がほぼ全文「〜ました」で終わる。

桐島は裏口から出ました。風が冷たくなっていました。フードトラックの湊は新メニューの試作をしていました。

処方箋: 「です・ます」調でも語尾のバリエーションは作れる。プロンプトに以下を追加する。

【文末ルール】
- 「〜ました」を3文以上連続させない
- 代替語尾: 「〜ています」「〜でしょう」「〜のです」「体言止め」「〜ません」を織り交ぜる
- 3文に1回は体言止めまたは倒置を使う

パターン2:「〜していた」の過去進行形ループ

小説の地の文で頻出する。シーンの描写が全て「〜していた」「〜ていた」で埋まるパターン。

桐島はカレーを食べていた。湊はカウンター越しに次の客を待っていた。雲が空を覆っていた。遠くで救急車のサイレンが鳴っていた。

動作の描写が全て「状態報告」になっている。映像が動かない。

処方箋:

【描写ルール】
- 「〜していた」「〜ていた」は1段落に最大1回まで
- 動作は完了形(「〜した」)で切るか、現在形(「〜する」「〜している」)で臨場感を出す
- 風景描写は名詞で止める(体言止め)か、比喩を使う

パターン3:「〜と言った」のセリフタグ繰り返し

セリフの後ろに毎回「〜と言った」「〜と答えた」「〜と呟いた」がつくパターン。

「いつもの?」と湊が言った。 「いや、今日は新しいやつ」と桐島が答えた。 「辛いの平気だっけ」と湊が聞いた。 「平気だ」と桐島が言った。

全てのセリフにタグがついていて、小説ではなく台本の体裁になっている。

処方箋:

【セリフの書き方】
- セリフの後に「〜と言った」系のタグをつけない。代わりに動作描写を挟む
- 話者が明確な場合はタグ自体を省略する
- セリフの前後に、そのキャラの動作か視線描写を1つだけ添える

適用すると、同じ会話がこう変わる。

「いつもの?」 湊の手がスプーンに伸びかけて止まる。 「いや、今日は新しいやつ」 「辛いの平気だっけ」 桐島は頷いた。メニュー表なんて見ていない。湊の手元を見ていた。

セリフタグが消え、動作がキャラの内面を「漏らす」装置になった。AI小説のセリフが不自然になる問題全般についてはAI小説のセリフを自然にする方法で会話のテンポ設計を解説している。

パターン4:「〜だった」の断定ループ

「だ・である」調で書かせたときに、全文が「〜だった」で終わるパターン。

動物病院の裏口は薄暗かった。フードトラックの灯りだけが頼りだった。湊の表情は読めなかった。カレーの匂いだけが確かだった。

重厚感を出そうとして、逆に単調になる。

処方箋:

【語尾の緩急ルール】
- 「〜だった」を3文以上連続させない
- 代替: 体言止め、「〜である」「〜だろう」「〜ない」「〜か」
- 緊張感を出すときは文を短く切り、「〜た。」の1語で止める
- 余韻を出すときは「〜のかもしれない」で一歩引く

パターン5:「〜た。〜た。〜た。」の完了形連鎖

パターン1〜4の根底にある最も基本的な問題。語尾の種類に関わらず、全ての文が「〜た」で終わる。過去形の海に沈んでいる状態。

裏口を出た。風が吹いた。フードトラックが見えた。湊が手を振った。歩いた。注文した。

短文連打なのにリズムが生まれない。「た」の連打が全てを平坦にしている。

処方箋:

【文末バリエーション指示】
- 全文を過去形で終わらせない。以下の比率を目安にする:
  - 過去形(〜た/〜だった): 40%
  - 現在形(〜る/〜ている): 20%
  - 体言止め: 20%
  - その他(倒置、疑問、比喩止め): 20%
- 同じ語尾を3文以上連続させるのは絶対に禁止

語尾の繰り返しを根本から防ぐ3つのプロンプト設計

個別パターンの処方箋は「対症療法」でもある。もっと根本的に語尾の単調さを防ぐプロンプト設計が3つある。

設計1: リズム制御プロンプト

文の長さと語尾をセットで制御する。長い文と短い文を交互に配置すると、語尾が自然に変わる。

【リズム制御】
- 文の長さに緩急をつける。10字以下の短文と、40字以上の長文を交互に使う
- 短文は体言止めまたは1語で止める
- 長文は余韻のある語尾(〜ている、〜のかもしれない)で閉じる
- 3文連続で同じ語尾を使うことを禁止する

この指示が効く理由は、文の長さが変わると語尾の選択肢も変わるから。3語の短文を体言止めで切れば、その時点で「〜ました」ループから強制的に離脱する。文の長さの緩急がリズムを生み、リズムが語尾のバリエーションを引き出す。

AI小説の地の文の書き方ではリズム制御を地の文の品質向上に使う方法を解説しているが、語尾の繰り返し防止にも同じ原理が使える。

設計2: 文体見本プロンプト

AIに「この文体で書け」と参考文を渡す方法。自分の好きな小説家の文章を3〜5文コピーして、プロンプトの冒頭に置く。

【文体の参考】
以下の文体を模倣してください。語尾のバリエーション、文の長さの緩急、体言止めの使い方を踏襲すること。

> 裏口を出ると、風。十一月の、骨に届く風。フードトラックのカウンターに灯りがついている。湊が鍋の中をかき混ぜている。規則正しい音。スプーンが鍋底を叩くたびに、カレーの匂いが一段濃くなる。桐島は歩いた。五歩。それだけの距離が、妙に長い。

この文体を維持して、以下のシーンを執筆してください。

見本を渡すと、AIは語尾のパターン・文の長さ・リズムを自動的に学習する。「語尾を変えて」という抽象的な指示より、具体的な見本の方がはるかに精度が高い。

見本文に体言止め・短文・疑問文が含まれていれば、AIはそのバリエーションをそのまま再現する。文体制御の仕組み全体はChatGPT小説の文体を変えるプロンプト設計で詳しく解説している。

設計3: セルフレビュープロンプト

AIに本文を書かせた後、同じ会話内で「自分で語尾をチェックさせる」方法。

上の文章を以下の基準でセルフレビューし、修正してください。

【語尾チェック】
1. 同じ語尾が3文以上連続している箇所を全て列挙する
2. 各箇所について、体言止め・現在形・倒置・疑問形のいずれかに書き換える
3. 修正後の全文を出力する

AIは「書く」より「直す」ほうが精度が高い。自分の文章の語尾パターンを客観的に分析させると、自力では選ばなかった語尾を提案してくる。

ただし、セルフレビューだけに頼ると手戻りが増える。リズム制御プロンプトで「最初から語尾を散らして書かせる」ほうが効率的で、セルフレビューは最後の仕上げに使うのが実用的。

実践——同じシーンのbefore/afterで体感する

5つのパターンの処方箋とリズム制御プロンプトを組み合わせて、冒頭と同じシーンを書き直した結果がこれ。

before(語尾固定) 桐島は動物病院の裏口から出ました。空は曇っていました。フードトラックの前に立ちました。湊がカレーの鍋をかき混ぜていました。桐島はいつものチキンカレーを注文しました。湊はスプーンを置きました。

after(語尾制御あり) 裏口を出ると、十一月の風。曇り空の下、フードトラックのカウンターだけが明るい。 湊が鍋をかき混ぜている。カレーの匂いが駐車場に流れてくる。 「いつもの?」 桐島は頷きかけて、やめた。カウンターの端に、見慣れない小鉢が置いてある。 「新作。食べてみて」 スプーンが差し出される。湊は桐島の目を見ない。鍋の方を向いたまま。 試作品を常連に出す。それだけのことが、なぜこんなに緊張するのかを、湊自身がわかっていない。

beforeは6文全て「〜ました」。afterは過去形・現在形・体言止め・セリフが混在し、同じ語尾が2回以上連続する箇所がない。加えたのは「リズム制御プロンプト」と「文末バリエーション指示」の2つだけ。

AIの出力が変わった理由は明確で、「3文連続で同じ語尾を禁止」のルールがループの自己強化を断ち切っている。体言止めと現在形を「逃げ道」として用意したことで、AIが安全な「〜ました」以外の選択肢を取れるようになった。

AI小説の「AI臭い」を直す方法で紹介している演出ルール(感情説明の禁止)と、この語尾制御プロンプトを組み合わせると効果が増す。演出ルールが「何を書かないか」を制御し、語尾制御が「どう終わらせるか」を制御する。2つは別レイヤーの問題だから、両方入れて初めてAI臭さが消える。

他のプロンプト技術と組み合わせる

語尾制御は単独でも効果があるが、既存のプロンプト技術と組み合わせるとさらに精度が上がる。

演出ルール × 語尾制御: 演出ルール(感情の説明禁止)を入れると、AIは動作や沈黙で感情を表現する。動作描写は体言止めや短文と相性がいいので、自然と語尾のバリエーションが広がる。

口調キーププロンプト × 語尾制御: キャラの口調を一人称・語尾・セリフ例・禁止語の4点セットで固定しつつ、地の文にはリズム制御を適用する。セリフの語尾はキャラ設定で固定し、地の文の語尾はリズムで散らす——この分離が大事。口調キーププロンプトの詳細はAI小説の口調が崩れる原因と対策を参照。

Director-Actor方式 × 語尾制御: BL Prompt Kitの演出ノート付きシーン生成プロンプトを使う場合、演出ノートに「文末のバリエーションを意識する」を1行追加するだけでいい。演出家(Director)が語尾の設計まで担当することで、俳優(Actor)が書く本文の語尾が最初から散る。

まとめ

AI小説の語尾固定は、5つのパターンに分類できる。「〜ました」連鎖、「〜していた」ループ、「〜と言った」繰り返し、断定の重複、完了形の海——自分の原稿がどのパターンかを特定し、パターンに合った処方箋を適用するのが最短ルート。

根本対策としては、リズム制御(文の長さで語尾を強制的に変える)、文体見本(理想の文体を先に渡す)、セルフレビュー(AIに語尾を自己チェックさせる)の3つのプロンプト設計がある。

この記事で紹介したリズム制御プロンプトや語尾バリエーション指示は、BL Prompt Kit(BOOTH)のシーン生成プロンプトと組み合わせて使える。キャラ設定・口調キープ・演出ルール・文体指示まで含めたフルキットで、語尾の繰り返しだけでなくAI小説の品質を丸ごと引き上げられる。

キャラの口調や設定をAIに効率的に渡す仕組みを探しているなら、キャラノート(β)も試してみてほしい。

CharaNote開発日記

「AIに口調を守らせたい」——この記事で紹介したテンプレートを、もっと直感的に管理できるツールを作っています。

CharaNoteは、キャラ設定シートをAIが読める形式で保存し、どのAIツールにもワンクリックで渡せるキャラ管理アプリです。現在クローズドβに向けて開発中。

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