AI創作ラボ

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2026-04-04AI TL小説 ティーンズラブ 書き方 プロンプト

AI TL小説(ティーンズラブ)の書き方——ヒロイン視点の「カメラ切り替え」プロンプト設計

「……これ、少女漫画のノベライズだっけ」

AIに書かせたTL小説を読み返す。ヒロインが赤面し、相手が壁ドンし、キスシーンで暗転。少女漫画のコマを文字に起こしただけの出力が画面に並ぶ。「ドキッとする瞬間」を書きたかったはずが、どこにもその一瞬がない。

TL小説がBLと「同じプロンプト」では書けない理由

TL(ティーンズラブ)とBLでは、読者が没入するポイントが構造的に異なる。BLは二人の関係性の対等さや主導権の駆け引きが軸になるが、TLではヒロインの主観に読者が入り込む構造が核になる。

AIにTLを書かせて「薄い」と感じるのは、カメラが終始ヒロインの外側にあるからだ。三人称で「彼女は驚いた」と書かれても、読者は傍観者のまま。AI恋愛小説の書き方プロンプトで紹介した恋愛小説の基本構造に加えて、TLではカメラの位置をプロンプトで制御する必要がある。

完成形プロンプト: ヒロイン視点のカメラワーク

TLの「ドキッとする一瞬」を作るために、カメラを3段階で切り替える設計を使う。

あなたはTL(ティーンズラブ)小説の演出家です。
以下の設定に基づいて、ヒロインの視点でドキッとする一瞬を描くシーンを執筆してください。

【カメラワーク設計(最重要)】
このシーンでは「カメラの距離」を3段階で切り替えてください:

1. ロングショット(遠景): 場所の空気感を描写。ヒロインの位置関係を示す
2. ミディアムショット(中景): 相手の全身〜上半身。ヒロインの「視線の先」にあるもの
3. クローズアップ(近景): 手、唇、目元、首筋など身体の一部分だけ。ここで「ドキッ」を作る

ドキッの瞬間は必ずクローズアップで書く。全体像を見せてから一部分に寄ることで、読者の意識が「そこだけ」に集中する。

【キャラ設定】
楠木 遥希(くすのき はるき)30歳 / インフラエンジニア
→ 無口で表情が動かない。でも行動が全部相手のためになっている。気づいた人だけが気づく優しさ。手が大きい

早瀬 ひなた(はやせ ひなた)22歳 / 新人イラストレーター(ヒロイン視点)
→ 観察力が高い。人の手元ばかり見る癖がある。自分の感情に鈍感で、気づいたときにはもう遅い

【場面】
オフィスビルの屋上庭園、昼休み。二人は同じビルの上下フロアに勤務していて、エレベーターで何度も遭遇するうちに「屋上の常連」同士になった。今日、楠木が初めてひなたの隣に座った。

【シーンのゴール】
ひなたが楠木の手を初めて「見る」瞬間。触れてはいない。見ただけで意識が変わる。

【演出ルール】
- 感情は説明しない。ひなたの視線の動きと身体反応(息が止まる、指が動く)で表現する
- 「ドキドキした」「胸が高鳴った」は使用禁止
- ヒロインの一人称「私」で書く

【分量】600字程度

空テンプレート: 自分の設定で使う

【カメラワーク設計】
1. ロングショット: {場所の空気感。二人の距離}
2. ミディアムショット: {ヒロインの視線の先にある相手の姿}
3. クローズアップ: {ドキッとする身体の一部分。例: 手、指先、横顔の輪郭}

【キャラ設定】
{相手の名前}({年齢}歳 / {職業})
→ {外から見える態度}。{ヒロインだけが気づく特徴}

{ヒロインの名前}({年齢}歳 / {職業})
→ {観察の癖}。{自分の感情への向き合い方}

【場面】
{場所}。{二人がここにいる理由}。

【シーンのゴール】
{ヒロインが相手の「何」を初めて意識するか}。{触れるか触れないか}。

TLの定番シチュエーション(同僚、幼馴染、先生と生徒)ごとの記入例とカメラ切り替えのバリエーションは、BL Prompt Kit(BOOTH)のフルキットに応用テンプレートとして収録している。

before/afterで「カメラ切り替え」の効果を確認する

before(カメラ距離が一定) 楠木さんが隣に座った。スーツの袖が少し折り返されている。手が大きくて、缶コーヒーが小さく見えた。「今日は暑いね」と言った。私は「そうですね」と返した。風が吹いて、楠木さんの髪が揺れた。

after(3段階のカメラ切り替え) 屋上の芝生に陽が当たっている。ベンチは3つ。いつも私が右端、楠木さんが左端。今日、楠木さんが真ん中に座った。——缶コーヒーを開ける手。親指が、プルタブの下に入る。その手の甲に、日焼けの境界線があった。腕まくりの跡。昨日までそんなもの見えなかった。見えなかったのに、今日は指先から目が離せない。息を吸うのを忘れていた。

▶ 変えたのは"ロングショット(ベンチの位置関係)→ミディアム(缶を開ける手)→クローズアップ(日焼けの境界線)と段階的にカメラを寄せた"だけ。一気にアップで始めるより、距離を詰めるプロセスが読者に緊張感を与える。

これが映像の世界で「ショットサイズの切り替え」と呼ばれる手法の文章版だ。映画のカメラマンは、観客の視線を誘導するためにロング→ミディアム→アップの順に切り替える。ChatGPT小説の感情描写のコツで扱った感情の間接描写と組み合わせると、「ドキッ」の解像度がさらに上がる。

まとめ

  • TLの核は「ヒロインの主観に読者が入り込む」構造
  • 「ドキッとする一瞬」はカメラのクローズアップで作る
  • ロング→ミディアム→クローズアップの3段階をプロンプトで指定する

TLのシチュエーション別テンプレートと、BLとの書き分けガイドはBL Prompt Kit(BOOTH)のフルキットに収録している。

CharaNote開発日記

「AIに口調を守らせたい」——この記事で紹介したテンプレートを、もっと直感的に管理できるツールを作っています。

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