AI創作ラボ

AIで小説を書くための実践ガイド

2026-04-04ChatGPT 掌編小説 プロンプト

ChatGPTで掌編小説を書くプロンプト——「800字で泣かせる」3ステップ

「800字で書いて」

そう打ち込んで、返ってきたのは2,400字のダイジェスト版だった。起承転結を律儀に詰め込み、最後は「二人は微笑み合った」で着地する。カーソルを全選択に動かし、Deleteキーを押す。画面が白紙に戻る。3回目だ。

ChatGPTに掌編小説を書かせるには、「短く書いて」では足りない。AIの冗長さを構造で封じ、800字の中に感情の導火線を仕込む技術がいる。BL Prompt Kitの演出設計を掌編に応用した3ステップを、コピペで使えるプロンプトと一緒に紹介する。

ステップ1: 「制約カード」でAIを掌編モードにする

ChatGPTは親切すぎる。背景を説明し、心情を語り、きれいにまとめようとする。掌編小説に必要なのは、その親切さを封じる「制約」だ。

以下の6項目を「制約カード」としてプロンプト冒頭に置く。

【制約カード】
- 字数: 800字以内(厳守)
- 視点: 三人称(攻め寄り)
- 時制: 現在形
- セリフ: 3つ以内
- 心情説明: 禁止(動作・視線・沈黙だけで表現する)
- 比喩: 1つだけ許可

ポイントは心情説明の禁止セリフの数制限。この2つがAIの「説明癖」を物理的に封じる。

「嬉しかった」と書けないから、AIは指の動きや視線の逸らし方で感情を表現せざるを得なくなる。セリフが3つしか使えないから、1つ1つの台詞が重くなる。制約は掌編の密度を上げる道具だ。

ChatGPTに文体を守らせる具体的な手法はAI小説の文体コントロールでも掘り下げている。

ステップ2: 「モンタージュ構成」でオチを設計する

掌編小説のオチは「説明」ではなく「並置」で作る。

映画のモンタージュ理論——無関係な2つのショットを並べると、観客の頭の中に3つ目の意味が生まれる——を文章に転用する。冒頭と末尾に「具体物」を1つずつ置き、その2つが共通点で繋がったとき、読者が自分の頭の中で感情を組み立てる。

実例を見てみよう。

指示なし(before) 小野寺は結城の指を見て、自分と似ていると感じた。グッズ交換で初めて会った相手なのに、不思議と親近感があった。時計修理で傷だらけの自分の手を見下ろし、小野寺は少し嬉しくなった。

モンタージュ構成あり(after) 結城の指がクレーンゲームのボタンに置かれる。爪が短い。動画編集者にしては、指先に細かい傷が多い。 小野寺は自分の手を見た。ルーペ焼けした右目の周り。歯車を扱う指に刻まれた、二十年分の傷。 同じ種類だ、と思った。それだけのことが、まだ胸の中にある。

▶ 変えたのは「感情を説明する代わりに、2つの手を並べた」だけ。読者の脳が「この2人は似ている」「だから惹かれた」という意味を勝手に組み上げる。これがモンタージュ効果——書かないことで、読者に書かせる構造だ。

プロンプトには「モンタージュ構成」ブロックを追加する。制約カードと合わせた完成形がこちら。

あなたはBL掌編小説の作家です。以下の条件で800字以内の掌編小説を書いてください。

【制約カード】
- 字数: 800字以内(厳守)
- 視点: 三人称(攻め寄り)
- 時制: 現在形
- セリフ: 3つ以内
- 心情説明: 禁止(動作・視線・沈黙だけで表現する)
- 比喩: 1つだけ許可

【モンタージュ構成】
- 冒頭の具体物: クレーンゲームのボタンに置かれた指
- 末尾の具体物: 時計の裏蓋を開ける指
- この2つが「同じ種類の傷」で繋がることで、読者に関係性の始まりを悟らせる

【キャラ設定】
- 攻め: 小野寺 暁(38歳・時計修理師・笑顔の下で相手を観察している)
- 受け: 結城 澪(22歳・切り抜き動画編集者・見た目はチャラいが指先は繊細)
- 関係: 推しのグッズ交換で初対面

【禁止事項】
- 「好き」「気になる」等の直接的な感情語
- 「運命」「偶然」等の説明的な接続
- オチで登場人物に気づきを言語化させない

このテンプレートはBL Prompt Kitのシーン生成プロンプトを掌編用にアレンジしたもの。ジャンルを問わず使える空テンプレートも載せておく。

あなたは{ジャンル}の掌編小説の作家です。以下の条件で{字数}字以内の掌編小説を書いてください。

【制約カード】
- 字数: {字数}字以内(厳守)
- 視点: {三人称(主人公寄り)/ 一人称}
- 時制: {現在形 / 過去形}
- セリフ: {数}つ以内
- 心情説明: 禁止(動作・視線・沈黙だけで表現する)
- 比喩: {数}つだけ許可

【モンタージュ構成】
- 冒頭の具体物: {冒頭に登場させるモノ・動作}
- 末尾の具体物: {末尾に登場させるモノ・動作}
- この2つが「{共通点}」で繋がることで、読者に{悟らせたいこと}を悟らせる

【キャラ設定】
- {キャラA}: {名前}({年齢}歳・{職業}・{性格の核})
- {キャラB}: {名前}({年齢}歳・{職業}・{性格の核})
- 関係: {2人の関係}

【禁止事項】
- {禁止する感情語}
- {禁止する展開}
- オチで登場人物に気づきを言語化させない

残り2ジャンル(夢小説・一般文芸)の記入例と、「どんでん返し型」「余韻型」「ループ型」の応用構成パターンはBL Prompt Kit(BOOTH)のフルキットに収録している。

ステップ3: 「削る指示」で800字に磨き上げる

ChatGPTの初稿はたいてい字数オーバーで返ってくる。1,200字になっていたら、以下の「削り指示」を送る。

以下の掌編小説を800字以内に圧縮してください。

【削りの優先順位】
1. 心情説明(「〜と思った」「〜を感じた」)→ 全削除
2. 状況説明(読者が推測できる情報)→ 削除
3. 形容詞の連続(「美しく静かな夜」→「静かな夜」)→ 1語に
4. セリフが4つ以上あれば → 最も弱いセリフを動作に置き換え

【厳守】
- モンタージュ構成(冒頭と末尾の具体物の対応)は壊さない
- 削った結果、意味が通らなくなる箇所は短く書き直す

コツは「何を削るか」の優先順位を明示すること。AIに「短くして」とだけ頼むと、全体を均等に薄めてしまう。優先順位があれば、密度を保ったまま圧縮できる。

掌編小説の冒頭で読者を掴むテクニックはAI小説の冒頭設計法でも別の角度から扱っている。

まとめ

  • 制約カードでAIの冗長さを封じ、掌編の密度を作る
  • モンタージュ構成で冒頭と末尾に具体物を置き、読者の頭の中で意味を組み立てさせる
  • 削り指示の優先順位で、密度を保ったまま800字に圧縮する

BL掌編の全構成パターン(どんでん返し型・余韻型・ループ型)と記入例付きテンプレートはBL Prompt Kit(BOOTH)に収録している。ChatGPTでBL小説を書く全体の流れはnoteの解説記事でも公開中。キャラ設定をAIに一貫して守らせたいなら、キャラノート(β)で設定シートを管理するのが早い。

CharaNote開発日記

「AIに口調を守らせたい」——この記事で紹介したテンプレートを、もっと直感的に管理できるツールを作っています。

CharaNoteは、キャラ設定シートをAIが読める形式で保存し、どのAIツールにもワンクリックで渡せるキャラ管理アプリです。現在クローズドβに向けて開発中。

進捗や先行アクセスの案内はCharaNote公式で。