「——3万字。書き終わった。で、これどうやって売るんだ」
エディタの文字数表示を見つめて、椅子の背にもたれる。ChatGPTと何往復も重ねて、ようやく納得のいくBL短編が仕上がった。けれどPDFの作り方も、BOOTHの出品設定も、サンプルをどこで切るかもわからない。「書く」と「売る」の間には、思った以上の溝がある。
ステップ1: BOOTHショップを開設する
BOOTHはpixivアカウントがあればすぐに開設できる。ログイン後「ショップを開設」を押すだけだ。
設定で押さえるのは3点。
ショップ名。 ジャンル名を含めると検索に引っかかる。「AI×BL短編書庫」のように、何を扱っているかが一目でわかる名前にする。
プロフィール文。 「ChatGPTでBL短編を書いています。キャラの感情を仕草で見せるプロンプト設計にこだわっています」——2行あれば十分だ。
pixiv連携。 pixivに冒頭3,000字のサンプルを投稿し、プロフィールからBOOTHへリンクを張る。出品初日からアクセスを集める最も再現性の高い動線がこれだ。
ステップ2: 原稿を商品化する
ファイル形式はPDF。 縦書き派が多いため、Googleドキュメントや一太郎で縦書きPDFを出力するのが手軽だ。EPUBも同梱すると電子書籍リーダー派を取りこぼさない。
価格は300〜500円。 1万字以下の短編なら100〜300円、3万字超の中編なら300〜500円が相場。1冊目は低めに設定してレビューを集め、次作で調整する。
サンプルの切り方が購入率を決める。 ここが勝負所だ。小説のサンプルは商品説明欄にテキストで掲載し、場面の**「転」の直前**で止める。
炊事場の蛍光灯が、常盤の横顔を青白く照らしていた。八島はペットボトルの水を注ぎながら、隣に腰を下ろした。 「……眠れないの、同じじゃん」 常盤が顔を上げた。いつもと違う目だった。八島の心臓が跳ねる。
——続きは本編でお読みいただけます。
「この先どうなるのか」を知りたい衝動。心理学ではツァイガルニク効果と呼ばれる——中断された物語は完了した物語より記憶に残り、脳が補完を求め続ける。ドラマの次回予告が最高潮で切れるのと同じ原理だ。サンプルの切り方一つで「気になる→購入」の変換率が変わる。
この「引き」を作るシーンをプロンプトで狙い撃ちできる。
あなたは小説家です。以下の設定で、BOOTH販売サンプル用のBL短編冒頭シーン(800字)を書いてください。
【キャラ設定】
- 八島悠(26歳、Webデザイナー):飄々としているが、距離を詰められると逃げるクセがある
- 常盤司朗(31歳、消防士):口下手だが行動で気持ちを示す。面倒見の鬼
【場面】
グループキャンプの深夜。炊事場で偶然二人きりになる。面識はあるが、二人だけで話すのは初めて。
【演出ルール】
- 感情を説明しない。仕草・沈黙・動作だけで表現する
- 会話は短く。間を多めに取る
- 最後は「距離が急に縮まる瞬間」で止めること(購入への引きを作る)
「最後は距離が縮まる瞬間で止める」の一行が、サンプル用の「引き」を自動で生成するカギだ。「感情を説明しない」演出ルールの使い方はAI小説の地の文を「読ませる描写」に変える方法で構造ごと解説している。
自分の作品に当てはめるなら、このテンプレートを使ってほしい。
あなたは小説家です。以下の設定で、販売サンプル用の{ジャンル}短編冒頭シーン({文字数}字)を書いてください。
【キャラ設定】
- {キャラA名}({年齢}歳、{職業}):{性格を1行で}
- {キャラB名}({年齢}歳、{職業}):{性格を1行で}
【場面】
{場所}。{状況を2〜3文で}。
【演出ルール】
- 感情を説明しない。仕草・沈黙・動作で見せる
- 最後は{引きのポイント}で止めること
記入例のジャンル展開と演出ルール全パターン付きテンプレートはBL Prompt Kit(BOOTH)のフルキットに収録している。
ステップ3: 出品して導線を作る
タグは5〜8個。 「BL小説」「AI小説」「短編」「創作BL」に加え、攻め受けの類型タグ(「年下攻め」「社会人BL」等)を入れる。BOOTHの検索はタグ一致度を重視するため、ジャンルに刺さるタグを厳選する方が効果的だ。
商品説明の冒頭で「誰向けか」を明示。 「年下×消防士の社会人BL短編(約30,000字)」のように、ターゲットと分量を1行で示す。あらすじはその後に3〜5行で。
pixiv → BOOTHの動線を先に作る。 pixivに冒頭サンプルを投稿し、BOOTHリンクを貼る。pixiv小説ランキングに入ればBOOTHへの流入が一気に増える。noteに執筆プロセスやプロンプト解説を書き、末尾にBOOTHリンクを置く導線も効く。noteへの投稿手順はAI小説をnoteに投稿する手順ガイドで詳しく解説している。
まとめ
- BOOTHでAI小説を売るには「ショップ開設 → 原稿の商品化 → 出品+導線づくり」の3ステップ
- 購入率はサンプルの切り方で決まる。「転」の直前で止めてツァイガルニク効果を使う
- pixiv連携とタグ設計で、出品初日からアクセスを集められる
サンプル用プロンプトの全バリエーションとジャンル別テンプレートはBL Prompt Kit(BOOTH)で公開中。ChatGPTでのBL小説の書き方全般はnoteの解説記事でも紹介している。キャラ設定をAIに覚えさせてシリーズ作品の一貫性を保ちたいなら、キャラノート(β)も試してみてほしい。
CharaNote開発日記
「AIに口調を守らせたい」——この記事で紹介したテンプレートを、もっと直感的に管理できるツールを作っています。
CharaNoteは、キャラ設定シートをAIが読める形式で保存し、どのAIツールにもワンクリックで渡せるキャラ管理アプリです。現在クローズドβに向けて開発中。
進捗や先行アクセスの案内はCharaNote公式で。