「また"月のような瞳"か……」
生成ボタンを押すたび同じ比喩が返ってくる。原因は2つ。感覚の偏り——指定なしの出力は視覚に偏り、触覚・聴覚がほぼ出ない。距離の近さ——「瞳→月」は共通点が多すぎて脳を素通りする。
五感の「チャンネル」を絞る
使える感覚をプロンプトで制限する。
【比喩の演出ルール】
- 比喩は「触覚」と「聴覚」のみ使用
- 視覚的な比喩(「〜のような色」等)は禁止
- 温度・質感・音で感情を表現する
氷彫刻師の湯川と製本師の奥山。雪祭りの搬入ゲート前で試す。
指定なし(before) 奥山の瞳は氷のように透き通っていた。湯川はその美しさに息を呑んだ。
触覚・聴覚に限定(after) 湯川が台車を降ろすとき、奥山の素手がハンドルに触れた。搬入口の冷気なのに、触れた甲だけ凍傷の手前のように熱い。チェーンソーが止まった静寂に、白い息だけが残った。
▶ 変えたのは"使っていい感覚を2つに絞った"だけ。
情景描写のプロンプト設計の「カメラポジション」と組み合わせると効果が増す。
比喩の「距離」を遠くする
職業から具象物を引く。氷彫刻師なら「融点」「粗取り」「氷目」、製本師なら「背固め」「小口」「花布」。その世界にしかない言葉が替えの利かない比喩になる。
【比喩の演出ルール】
- 比喩は「{感覚チャンネル: 例=触覚}」のみ使用
- 「{キャラ名}」の「{感情: 例=動揺}」を{職業に関連する具象物}で表現
- 比喩の元と先に共通する形容詞が2つ以上あれば却下
- 1シーンの比喩は最大2つまで
全ジャンルの記入例と応用パターンはBL Prompt Kit(BOOTH)のフルキットに収録している。
なぜ「遠い比喩」は脳に残るのか
概念メタファー理論では、共通点の多い比喩は処理が一瞬で終わるが、少ない比喩は「なぜ結びつくのか」を能動的に処理する。その負荷が引っかかりになる。感情描写のコツの「感情を説明しない」原則も同じ仕組みだ。
まとめ
- チャンネルを絞る — 視覚禁止だけで質が変わる
- 距離を遠くする — 職業の具象物を使う
記入例付きフルキットはBL Prompt Kit(BOOTH)で配布中。noteでも解説している: ChatGPTでBL小説を書く方法。
CharaNote開発日記
「AIに口調を守らせたい」——この記事で紹介したテンプレートを、もっと直感的に管理できるツールを作っています。
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