AI創作ラボ

AIで小説を書くための実践ガイド

2026-04-04AI小説 推敲 校正 やり方

AI小説の推敲・校正やり方ガイド|3段階プロンプトで「読ませる文章」に変える

「……なんか違う。けど、どこが違うのかわからない」

3,000字のAI小説を読み返す。誤字はない。文法も通っている。なのにスクロールする指が何度も止まる。違和感の正体がつかめないまま、結局そのまま公開してしまった——そんな経験が一度はあるはずだ。

AIの出力に対する推敲は、誤字脱字を直す「校正」だけでは足りない。構造・描写・リズムの3層に分けてチェックすることで、出力は「それっぽい文章」から「読ませる文章」に変わる。

「推敲して」だけではAIが動かない理由

ChatGPTやClaudeに「この小説を推敲して」と投げると、返ってくるのは表面的な修正だ。「より洗練された表現にしました」「自然な流れに調整しました」——抽象的なフィードバックばかりで、何をどう変えたのかが見えない。

原因はシンプルで、AIに「何が良い小説か」の基準を渡していない。基準がなければ「なんとなくキレイにする」しかできない。

推敲を3つの層に分けて、それぞれ専用のプロンプトで回す。これがAIを校正者に変えるやり方だ。

  • 第1層: 構造チェック——設定の矛盾、時系列の不整合、伏線の回収漏れ
  • 第2層: 描写の推敲——感情説明を動作に変換する
  • 第3層: リズムの仕上げ——語尾の連続、文の長さ、改行バランス

一度に全部やろうとすると精度が落ちる。1層ずつ順番に渡すのがポイントだ。

ステップ1: 構造チェック——矛盾と伏線を洗い出す

最初に渡すのは「編集者の目で読んでもらう」プロンプトだ。

以下の小説を編集者の視点でチェックしてください。

【チェック項目】
1. 設定の矛盾(年齢、職業、場所、時間帯が途中で変わっていないか)
2. 時系列の整合性(出来事の前後関係が破綻していないか)
3. 伏線の回収(前半で示唆された要素が後半で放置されていないか)
4. キャラの行動動機(そのキャラがその行動を取る理由が読者に伝わるか)

【出力形式】
問題箇所を引用し、「何が矛盾しているか」「修正案」を箇条書きで出力してください。
問題がない項目は「問題なし」と明記してください。

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{ここに小説本文を貼る}

構造チェックの段階では文体に触れさせない。「きれいに直す」のは後のステップの仕事だ。ここでは論理的な穴だけを潰す。

ステップ2: 描写の推敲——「説明」を「動作」に書き換える

構造の矛盾を潰したら、次は描写の質を上げる。AI小説で最もありがちな問題が「感情の説明」だ。

たとえばこんな文章。

推敲前 三雲は永井の顔を見て驚いた。まさかこんなところで再会するとは思わなかった。 「え、三雲さん? なんでここに?」 永井は嬉しそうに笑った。三雲も嬉しかったが、うまく表情に出せなかった。 「……引っ越し、今日だったのか」

「驚いた」「嬉しかった」「うまく表情に出せなかった」——感情が全部説明されている。読者は「ふーん、驚いたんだ」で流してしまう。

同じシーンを、動作だけで書き直す。

推敲後 「え、三雲さん?」 永井の手から、ガムテープが落ちた。引っ越し業者が去ったばかりの廊下に、カランと乾いた音が転がる。 三雲は隣の部屋の鍵を握ったまま、二秒ほど永井を見た。 「……テープ」 拾い上げて差し出す。永井が受け取るとき、指先が触れた。三雲の方が先に手を引いた。

▶ 変えたのは"「驚いた」「嬉しかった」を書く代わりに、ガムテープを落とす・手を引くという動作で感情を見せる"だけ。

なぜこれが効くのか。読者心理の観点でいうと、人は自分で補完した感情の方が強く記憶に残る。ガムテープが落ちる音から「あ、動揺してる」と読者自身が気づく——そのプロセスがあるからシーンが印象に残る。書き手が説明した瞬間、読者の「気づき」が奪われる。

この書き換えをAIにやらせるプロンプトがこれだ。

以下の小説を「演出ルール」に従って推敲してください。

【演出ルール】
- 「嬉しかった」「悲しかった」「驚いた」などの感情を直接説明する文を見つけたら、動作・表情・沈黙・セリフに書き換える
- 感情が高ぶるほど言葉を少なく、動作を小さくする
- セリフタグ(「〜と言った」「〜と答えた」)を削り、動作描写に置き換える
- 書き換えた箇所は【変更】として元の文と並記する

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{ここに小説本文を貼る}

自分の設定に合わせて使える空テンプレートも載せておく。

以下の小説を推敲してください。

【推敲の基準】
- {推敲で重視するポイント。例: 感情説明を動作に変換 / 五感描写の追加 / テンポの調整}
- {禁止したい表現。例: 「〜だった」の連続使用 / 心情の直接説明}
- {キャラの口調ルール。例: Aは敬語を使わない / Bは語尾に「〜かな」をつけがち}

【出力形式】
- 変更箇所を【変更前】【変更後】で並記する
- 変更理由を一言で添える

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{小説本文}

{推敲で重視するポイント} {禁止したい表現} {キャラの口調ルール}を自分の作品に合わせて埋めるだけで、AIが「基準のある推敲」をしてくれる。演出ルールの完全版とジャンル別の記入例はBL Prompt Kit(BOOTH)のフルキットに全パターンを収録している。

AI小説の「AI臭い」を直す3つの方法では、この「感情説明→動作変換」のテクニックをさらに掘り下げている。

ステップ3: リズムの仕上げ——語尾・文長・改行を整える

描写を直したら、最後に文章のリズムを調整する。チェックポイントは3つ。

語尾の連続: 「〜した。〜した。〜した。」と同じ語尾が3回以上続いていないか。対策の詳細はAI小説の語尾が同じになる原因と直し方にまとめているが、推敲プロンプトに「文末が3文連続で同じ語尾にならないよう調整する」と一行足すだけでも効果がある。

文の長さ: 長文と短文を交互に配置する。3行以上の長文が続いたら短文を挟む。特にセリフの前後は、体言止めか10字以内の動作描写を入れると緊張感が出る。

改行バランス: AI出力は段落が大きくなりがちだ。1段落3行以内を目安に、意味の切れ目で改行を入れる。

以下の小説の文章リズムを調整してください。

【リズムルール】
- 同じ語尾が3文連続しないよう文末を変化させる(体言止め、現在形、倒置を混ぜる)
- 3行以上の長文が続いたら、10字以内の短文を挟む
- 1段落は3行以内
- セリフの前後には1文以内の動作描写を入れる

修正箇所を【変更前】【変更後】で並記してください。

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{ここに小説本文を貼る}

口調の崩壊が気になる場合は、AI小説の口調が崩れる3つの原因のテンプレートを推敲プロンプトに組み込むと、リズム調整と口調キープを同時に処理できる。

まとめ

AI小説の推敲は「構造→描写→リズム」の3段階に分けて、1層ずつAIに渡す。一度にすべてを直そうとしないのが鉄則だ。

  • 構造チェックで矛盾と伏線を潰す
  • 描写の推敲で感情説明を動作に変換する
  • リズムの仕上げで語尾・文長・改行を整える

この3層プロンプトの全パターンとジャンル別記入例はBL Prompt Kit(BOOTH)に収録している。キャラ崩壊を防ぎながら推敲を回したいならキャラノート(β)でキャラ設定を一元管理するのも手だ。キャラ崩壊の推敲についてはnoteでも解説している

CharaNote開発日記

「AIに口調を守らせたい」——この記事で紹介したテンプレートを、もっと直感的に管理できるツールを作っています。

CharaNoteは、キャラ設定シートをAIが読める形式で保存し、どのAIツールにもワンクリックで渡せるキャラ管理アプリです。現在クローズドβに向けて開発中。

進捗や先行アクセスの案内はCharaNote公式で。