ChatGPT小説プロンプト例文——「設定ひとこと」で終わらせない構造テンプレート
「探偵と助手のミステリーを書いて」とChatGPTに頼んだ。返ってきた探偵と助手、口調がほぼ同じ。感情は全部「〜と思った」。展開は3段落で事件が解決。
コピペで使えるプロンプト例文を探しても、出てくるのは「ジャンル:ミステリー、雰囲気:ダーク」のような箇条書きばかり。この記事では、ChatGPTの小説出力を実際に変えるプロンプト例文を3パターン公開する。
ChatGPTの小説プロンプトに「構造」が必要な理由
「探偵モノを書いて。主人公は無口な探偵、相棒は明るい助手」——このプロンプトでChatGPTが返すのは、「無口っぽい平均値」の探偵と「明るいっぽい平均値」の助手。全員が「ですね」「そうですね」の丁寧語になる。
原因は、指定が「雰囲気」で止まっていること。AIにとって「無口」は曖昧な形容詞でしかない。「無口」の解釈が10通りあれば、ターンごとに別のパターンを選ぶ。
必要なのは、雰囲気を分解して構造化すること。以下の3つのプロンプト例文で、その方法を見せる。
例文1: キャラの「声」を固定するプロンプト
キャラが全員同じ口調になる問題は、口調を一人称・語尾・セリフ例・禁止語の4点セットで指定すると解消する。ミステリーの探偵と助手で例を示す。
■ 口調ルール — 白鷺薫(探偵・32歳)
- 一人称: 私(崩さない)
- 語尾の癖: 体言止め。断定。「〜だ」「〜だろう」
- 話し方の特徴: 結論から言う。感情を交えない。比喩を使わない
- 絶対に使わない言葉: 「面白い」「すごい」等の感嘆。相手を褒める言葉
- セリフ例:
1. 「結論から言う。犯人は被害者の妻だ」(通常)
2. 「……証拠はある。だが、今は言えない」(情報を隠すとき)
3. 「榊原、コーヒー。砂糖は入れるな」(助手に対して)
■ 口調ルール — 榊原遊(助手・24歳)
- 一人称: 俺
- 語尾の癖: 〜じゃないですか、〜っすよ(くだけた敬語)
- 話し方の特徴: 思いついたことを口にする。沈黙が苦手。質問が多い
- 絶対に使わない言葉: 学術用語。回りくどい表現
- セリフ例:
1. 「あ、それ俺も思ったんすよ。動機が弱すぎません?」(通常)
2. 「……白鷺さん、今の顔めちゃくちゃ怖いっす」(緊張したとき)
3. 「コーヒー淹れましたけど、砂糖入ってます。うっかり」(白鷺に対して)
このテンプレートは「BL Prompt Kit」のキャラ設定シートの構造を基にしています
ポイントはセリフ例が3つあること。平常時・緊張時・対人時の3パターンをAIに学習させると、どの場面でも口調がブレにくい。
もう一つ効くのが**「絶対に使わない言葉」**。白鷺に「面白い」を禁止すると、代わりに「……興味深い事実が一つある」のような、そのキャラらしい迂回表現が出てくる。AIは「書くな」の指示に対しては比較的忠実に従う。
口調テンプレートの仕組みと、長い会話で口調を維持する方法はAI小説の口調が崩れる3つの原因で詳しく解説している。
例文2: AIの「説明グセ」を消すプロンプト
キャラ設定を整えても残る問題がある。「白鷺は驚きを感じた」「榊原は嬉しくなった」——AIは感情を直接説明する。これが「AI臭さ」の正体。
解決策は、プロンプトに演出ルールと禁止事項を加えること。探偵モノとは別のジャンル——料理人と批評家のシーンで見せる。
【演出ルール】
- 感情は説明しない。表情・沈黙・動作・セリフだけで表現する
- 「嬉しかった」「悲しかった」のような心情説明は禁止
- 感情が高ぶるほど言葉を少なく、動作を小さくする
【禁止事項】
- 槙野に「美味しい」と言わせない
- 天野に料理を直接褒めさせない
- 2人を笑顔にしない
設定は「閉店後の厨房で、フードライターが料理人の新作を食べる」。演出ルールなし・ありで出力を比較する。
演出ルールなし 天野はフォークを置き、感動した表情で言った。「すごく美味しいです。今までで一番かもしれません」槙野は嬉しそうに微笑んだ。「ありがとう。満足してもらえて良かった」
演出ルールあり 天野がフォークを置いた。音を立てないように。ナプキンで口元を拭く動作が、いつもより丁寧だった。 槙野はカウンターの向こう側で、布巾を畳んでいる。もう3回目だ。同じ布巾を。 「……ソースの酸味、もう少し弱くてもいい」 天野はノートを開かなかった。閉じたまま言った。 「記事には書きません。これは、まだ誰にも教えたくない」 槙野の手が止まった。布巾を畳む手が。 「……次は、予約なしで来てくれ」
「美味しい」の代わりに、ノートを閉じる動作。「嬉しい」の代わりに、3回畳み直す布巾。禁止事項が表現の工夫を引き出す。「書くな」と縛ると、AIはその周辺の表現を探索しに行く。
演出ルールの詳しい仕組みと応用はAI小説の「AI臭い」を直す方法で解説している。
例文3: 長編の骨格を作るプロンプト
短編は書けても、長編になるとプロットが破綻する。AIは「今書いている章」しか見えないため、伏線を忘れ、展開がご都合主義になる。
この問題を解決するのが5段階アウトラインプロンプト。全体構造を先に決め、各章の詳細は書く直前に展開する方式。
以下のキャラクター設定をもとに、5段階の粗アウトラインを作成してください。
【5段階構造】
1. 出会い・日常(導入): 2人の関係性と世界観を提示する
2. 距離が縮まる(上昇): きっかけで2人の距離が変わる
3. すれ違い・障害(転): 関係に亀裂が入る
4. 感情の頂点(クライマックス): 抑えていた感情が表出する
5. 着地(結末): 関係性がどう変化したか
【各段階で書くこと】
- この段階のゴール(1文)
- メインイベント(何が起きるか)
- 感情の変化(主要キャラそれぞれ)
- この段階の終わり方(次への引き)
【注意】
- 障害は簡単に解決させない
- 感情の変化は段階的に。突然の心変わりは禁止
- 伏線を最低2つ含める
{ここにキャラ設定シートを貼る}
【物語の方向性】
- ジャンル: {現代/ファンタジー/学園}
- テーマ: {例: 不器用な人間が感情を認めるまでの話}
- 結末のトーン: {ハッピーエンド/ビターエンド/オープンエンド}
- 避けたい展開: {例: 三角関係、記憶喪失、突然の告白}
このテンプレートは「BL Prompt Kit」の長編アウトラインシートの構造を基にしています
ポイントは2つ。「避けたい展開」でAIの予定調和を防ぐことと、全体を先に決めてから各章の詳細を展開すること。
一度に全章の詳細を決めると、書いた内容との齟齬が生まれる。粗アウトラインで骨格だけ固め、書く直前の章だけ詳細化する。この「動的階層アウトライン」方式が、長編のプロット破綻を防ぐ。
BL・夢小説での具体的なテンプレートの使い方はChatGPTでBL小説を書く方法で解説している。
まとめ
- ChatGPTの小説プロンプトは「ジャンルと雰囲気」の指定では機能しない。口調・演出・構成を構造化して初めて出力が変わる
- 口調は「一人称・語尾・セリフ例3つ・禁止語」の4点セットで固定する
- 「何を書くか」より「何を書かないか」(演出ルール・禁止事項)がAIの出力を引き上げる
この記事で紹介した3つのテンプレート——キャラ設定シート・シーン生成プロンプト・長編アウトラインシート——のフルキットは、BL Prompt Kit(BOOTH)からダウンロードできる。BL版・夢小説版・汎用版の3ジャンル分の記入例付き。ChatGPTとClaude対応。