Claudeで夢小説を書くプロンプト——3ステップで「推しの声」を再現する方法
「……椎名先生、卒業してもう1年なのに、まだ先生って呼んでいいですか」
画面に表示されたClaudeの出力を読んで、手が止まった。書きたかったのはこの台詞じゃない。美術館で偶然再会した元教師と元生徒。敬語が外れかけている微妙な距離感。なのにClaudeは丁寧すぎる「いい子」を出力してくる。推しの声が、違う。
Claudeは「余白を残す文章」が得意なAI。ChatGPTが親切に感情を説明してくるのに対し、Claudeは行間に感情を埋める。夢小説との相性は高い——ただし、プロンプトの構造が正しければ。
この記事では、Claudeで「推しの声」を再現する夢小説プロンプトを3ステップで組み立てる。
ステップ1: 推しの「声」を6項目に分解する
夢小説の成否はキャラ設定の粒度で決まる。「優しくて不器用な先生」だけでは、Claudeは「優しい人の平均値」を出力する。
必要なのは、推しの声を構造として渡すこと。
■ キャラ設定: 椎名涼介(27歳・高校の美術教師)
【口調ルール】
- 一人称: 僕(生徒の前では「先生は」)
- 二人称: 苗字+さん(元生徒に対して。「さん付け」が外れない)
- 語尾: 〜だよ、〜かな(疑問形が多い。断定を避ける)
- 絶対に使わない言葉: 「好き」「会いたかった」「寂しかった」
- セリフ例:
1. 「あ……元気そうで、よかった」
2. 「僕のことは気にしないで。先に帰っていいよ」
3. 「……その絵、まだ持ってたんだ」
【行間の設計】
- 表: 穏やかで丁寧。元教師としての距離を崩さない
- 裏: 卒業式の日に渡せなかった手紙がまだ引き出しにある
- 癖: 言葉に詰まると眼鏡のブリッジを押し上げる
ポイントは「絶対に使わない言葉」と「行間の設計」の2つ。
「好き」を禁止すると、Claudeは代わりに行動で感情を出す。手紙を渡せなかった設定を与えると、出力のあちこちに「渡せなかった後悔」がにじむ。直接言わせないからこそ、読者が自分で感情を読み取る余地が生まれる。
推しの口調設計をさらに詳しく知りたい場合は、ChatGPTで夢小説を書く方法——推しが「なんか違う」を解消する設定術も参考になる。Claude版でも口調ルールの基本構造は同じだ。
ステップ2: シーンを「イベント」ではなく「状態」で指示する
キャラ設定ができたら、次はシーンの指示。ここでやりがちな失敗は「文化祭で再会するシーンを書いて」のような「イベント指示」。Claudeにはイベントではなく「状態」を渡す。
■ シーン指示
【場所】地方の美術館。企画展「青の時代」の最終日
【時間】11月の日曜、午後15時。館内はまばらに人がいる
【夢主の状態】趣味で油絵を始めた。企画展を観に来たら、同じ絵の前に椎名先生がいた。1年ぶり
【推しの状態】好きな画家の展示を観に来た。元生徒に会うとは思っていない
【2人の距離感】教師と生徒の壁がまだある。でも敬語が少しずつ崩れかけている
【このシーンのゴール】連絡先を交換する——ただし、どちらも「これは社交辞令」だと自分に言い聞かせている
【演出ルール】
- 感情は説明しない。動作・沈黙・視線で表現する
- 心情説明(「嬉しかった」「胸が高鳴った」)は禁止
- 会話のテンポ: 沈黙を多めに。返事までに間を入れる
「2人の距離感」と「シーンのゴール」が鍵。
距離感を指定すると、Claudeは「その距離でギリギリありえる行動」だけを選ぶようになる。ゴールに「自分に言い聞かせている」を加えると、連絡先の交換が単なるイベントではなく、内心と行動のズレになる。
このズレが、夢小説の「おいしい」ポイント。読者は推しの「社交辞令のふりをしている不器用さ」を読み取って、自分の脳内で感情を補完する。
ステップ3: テンプレートを組み立てて、Claudeに渡す
ステップ1と2の要素を合体させた完成形プロンプトがこれ。
以下の設定で夢小説のワンシーンを書いてください。
■ キャラ設定: 椎名涼介(27歳・元担任の美術教師)
【口調ルール】
- 一人称: 僕
- 二人称: 苗字+さん
- 語尾: 〜だよ、〜かな
- 絶対に使わない言葉: 「好き」「会いたかった」「寂しかった」
- セリフ例: 「あ……元気そうで、よかった」「……その絵、まだ持ってたんだ」
【行間の設計】
- 表: 穏やかで距離を崩さない
- 裏: 卒業式の日に渡せなかった手紙がある
- 癖: 言葉に詰まると眼鏡のブリッジを押し上げる
■ 夢主: 大学1年生。油絵を趣味で始めた。椎名先生の授業がきっかけ
- セリフ例: 「先生の絵、好きだったんです。だから自分でも描いてみたくて」
■ シーン
【場所】地方の美術館。企画展の最終日、日曜午後
【状態】偶然の再会。1年ぶり。お互い動揺を隠している
【ゴール】連絡先を交換する。ただし「社交辞令」だと互いに自分に言い聞かせる
■ 演出ルール
- 感情は説明しない。動作・沈黙・視線で表現する
- 心情説明(「嬉しかった」「ドキドキした」)は禁止
- 沈黙を多めに。返事までに間を入れる
- 字数: 800〜1200字
このプロンプトをClaudeに渡すと、推しが展示室の絵を見つめたまま眼鏡のブリッジを押し上げ、ぽつりと連絡先を口にするような出力が返ってくる。感情の直接表現を禁止しているから、Claudeは仕草と沈黙で感情を出すしかない。
次に、このテンプレートを自分の推しに書き換えるための空テンプレート。
以下の設定で夢小説のワンシーンを書いてください。
■ キャラ設定: {推しの名前}({年齢}・{職業/立場})
【口調ルール】
- 一人称: {一人称}
- 二人称: {夢主の呼び方}
- 語尾: {語尾の特徴}
- 絶対に使わない言葉: {推しが絶対に言わないこと3つ}
- セリフ例: {推しらしいセリフ2つ}
【行間の設計】
- 表: {周囲に見せている姿}
- 裏: {本当は抱えていること}
- 癖: {感情が動いたときの仕草}
■ 夢主: {夢主の設定}
- セリフ例: {夢主のセリフ1つ}
■ シーン
【場所】{場所と時間帯}
【状態】{2人の現在の関係性と心理状態}
【ゴール】{このシーンで起きること + 内心のズレ}
■ 演出ルール
- 感情は説明しない。動作・沈黙・視線で表現する
- 心情説明は禁止
- {追加の演出指示}
- 字数: {希望の字数}
{推しの名前} {絶対に使わない言葉} {行間の設計}——この3つを埋めるだけで、プロンプトの骨格ができる。残り2ジャンル(ファンタジー騎士×姫、アイドル×スタッフ)の記入例と、シーン展開パターン全5種はBL Prompt Kit(BOOTH)のフルキットに収録している。夢小説版テンプレートも同梱。
なぜClaudeは夢小説と相性がいいのか
夢小説は「自分がその世界にいる」感覚を味わうジャンル。この没入感を左右するのは、脳の「自己投影」の仕組みだ。
認知科学の研究では、物語の登場人物に自分を重ねるとき、脳は実際に体験したときと似た領域を活性化させることがわかっている。読者が「自分ごと」として読める文章ほど、脳は「本当の体験」に近い処理をする。
ここでClaudeの特性が効く。Claudeは感情を直接書かず、行間に余白を残す傾向がある。「嬉しかった」と書かれると、読者はそれを「情報」として処理する——他人の感情の報告として。でも「眼鏡のブリッジを押し上げて、視線を隣の展示パネルに逃がした」と書かれると、読者の脳は自分で「この人、動揺してる」と感情を生成する。
自分で生成した感情は、説明された感情より記憶に残る。夢小説で「推しと一緒にいる感覚」が欲しいなら、感情を書かないプロンプトの方が没入は深くなる。
推しの設定を構造化する方法はAI夢小説で「推し」が別人になる原因——公式設定から"推しらしさ"を引き出すプロンプト設計でさらに深掘りしている。
まとめ
- Claudeで夢小説を書くプロンプトは「口調ルール」「行間の設計」「演出ルール」の3層構造で組み立てる
- 推しに「好き」を言わせない禁止事項が、動作と沈黙で感情を伝える出力を生む
- 上の空テンプレートに自分の推しを埋め込めば、今すぐ1シーン書ける。シーン展開パターンと全ジャンルの記入例はBL Prompt Kit(BOOTH)のフルキットで