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2026-04-03Claude BL 小説 書き方 プロンプト

ClaudeでBL小説を書くプロンプト完全ガイド——「行間で語る」BLを設計する全手順

「ChatGPTでBLを書いてたけど、Claudeの方がいいって聞いた。試してみたら——確かに文章は丁寧だ。でも全員が優等生みたいに喋って、攻めも受けもいい話でまとめようとしてくる」

Claudeは小説の「密度」に定評がある。だが、何も指定しなければChatGPTと同じ「それっぽいBL」しか出てこない。攻めと受けの口調が同じ、感情が全部説明文、クライマックスで唐突に「温かい気持ちが流れた」——この3つの壁は、プロンプトの構造で越えられる。

この記事では、Claudeの強みを活かして「行間で伝わるBL」を書くためのプロンプト設計を、キャラ設定からシーン生成、推敲まで一気通貫で解説する。

ClaudeがBLの「行間」を書ける構造的な理由

ChatGPTとClaude、同じプロンプトでBLシーンを生成すると、出力の方向性が違う。「Claudeの方が上手い」という雑な話ではない。得意領域が構造的に異なる。

ChatGPTはセリフの掛け合いとテンポが強い。場面を次々と動かし、読者を退屈させない「量」で勝負する。一方、Claudeはひとつの場面に留まり、動作と沈黙の中に感情を仕込む「密度」で勝負する。

BLの核心は何か。「好き」と言わずに好きだと伝える、あの瞬間だ。言葉と行動の矛盾、沈黙が持つ意味、小さな動作に隠された感情。これはClaudeの「密度型」出力と相性がいい。

「帰れよ」と言いながら、相手のジャケットの襟を直す。言葉では突き放しているのに、手が勝手に相手に触れている。Claudeはこの種の「矛盾の描写」を自然に生成する。ただし、プロンプトが構造化されている場合に限る。

構造化されていないプロンプトでは、Claudeも「2人は幸せな気持ちを共有した」で着地する。ここからは、その構造化の方法を解説する。

ChatGPTとClaudeの出力傾向の比較はChatGPTとClaude、小説に使うならどっち?——同じプロンプトで出力を比較したで詳しく検証している。

BLキャラ設定をClaudeに「完全に」覚えさせる方法

口調ルール×関係性×矛盾の3層設計

Claudeに「攻め: ワンコ系、24歳」と伝えただけでは、「元気で素直な青年」が出力される。BLの攻めとしては物足りない。

Claudeの出力精度を上げるには、キャラ設定を3層で構造化する。

第1層: 口調ルール——最も重要。Claudeにとって、セリフ例は口調学習の最重要データ。抽象的な性格説明より、セリフ1行の方が精度は高い。

【口調ルール: 白石蓮(攻め)——ダンスインストラクター、24歳】
- 一人称: 俺
- 語尾: 「〜っすよ」「〜じゃないですか」→ 年上相手に敬語崩れ
- セリフの特徴: 長め。言わなくていいことまで言う。沈黙に耐えられない
- 絶対に使わない言葉: 「別に」「どうでもいい」(興味がないふりができない)

セリフ例:
1.「あ、棟梁——じゃなくて、鷹野さん。今日もっすか、この暑いのに」(話しかけずにいられない)
2.「いやほんと、壁が白くなっただけでこんな変わるんすね。すげえ——あ、邪魔っすよね、見てるだけで」(褒めるのが下手)
3.「……なんか、鷹野さんの手、でっかいっすよね」(口が先に動く)

第2層: 関係性ダイナミクス——2人の間にある「非対称な感情」をClaudeに渡す。

【関係性】
- 鷹野響に対する態度: 毎日リフォーム現場に差し入れを持っていく。理由を聞かれると「通り道なんで」
- 鷹野響に対する本音: この人の仕事を見ているとき、自分が一番落ち着く。それが何を意味するかは、まだ言語化できない
- 攻め/受け: 攻め——場の空気を動かす側だが、自覚なく距離を詰めるタイプ

第3層: 矛盾の設計——ここがClaude固有の重要ポイント。

【矛盾】
- 表: 誰にでもフレンドリー。「俺みんなに同じっすよ」
- 裏: 鷹野の前だけ声のトーンが変わり、動作がぎこちなくなる
- 本人の認識: 自分が特別扱いしていることに気づいていない

この「矛盾」の層がClaudeの出力を変える。Claudeは「表と裏が違うキャラ」の指示を受けると、行動で表を演じつつ、小さな動作に裏をにじませる。これがBLの「行間」になる。

受け側のキャラ設定も同じ3層で作る。

【口調ルール: 鷹野響(受け)——大工、32歳】
- 一人称: 俺
- 語尾: 「〜だ」「〜だろう」(断定形。迷いがない)
- セリフの特徴: 短い。必要最低限。質問に質問で返すことがある
- 絶対に使わない言葉: 「寂しい」「嬉しい」など感情の直接表現

セリフ例:
1.「ああ」(肯定も否定も、まずこれ)
2.「邪魔はしてない。……いつ帰るんだ」(追い出す言葉。だが目は合わせている)
3.「白石、これ」(差し入れのペットボトルを無言で返す——中身は半分に減っている)
【関係性】
- 白石蓮に対する態度: 仕事の邪魔だと言いながら、白石が来ない日は窓の外を見る
- 白石蓮に対する本音: この距離感が崩れるのが怖い。自分の感情を認めたら、手が止まる
- 攻め/受け: 受け——場の空気に反応する側。動揺が「間」に出る
【矛盾】
- 表: 職人肌で寡黙。感情を表に出さない
- 裏: 白石の言葉を一語ずつ覚えている。昨日の「手がでかい」をまだ反芻している
- 本人の認識: 自覚はある。ありすぎるから、余計に動けない

このテンプレート構造は「BL Prompt Kit」キャラ設定シートを基にしています

攻めと受け、両方のシートを必ずClaudeに渡す。 片方だけだと、Claudeは相手キャラを自分で補完してしまう。結果、設定が噛み合わなくなる。キャラ設定の基本構造はChatGPTのキャラ設定プロンプト——AIに「声」を覚えさせる6項目テンプレートでも解説している。

Claude Projectsでキャラ設定を永続化する

Claudeの最大のアドバンテージはClaude Projects。キャラ設定シートをProjectsのknowledge(ナレッジ)に格納すると、毎回コピペしなくてもClaudeが設定を記憶し続ける。

手順は3つ。

  1. claude.aiで新しいProjectを作成する(例:「BL短編 — 白石×鷹野」)
  2. Projectのknowledgeに、攻め・受けそれぞれのキャラ設定シートをアップロードする
  3. Project instructionsに演出ルールとシーン生成ルールを記入する

Project内のチャットでは、Claudeが毎回knowledgeを参照する。10シーン書いても口調がブレにくい。

ChatGPTでは毎ターンにキャラ設定を貼り直す必要があるが、Claudeはこの手間がない。長編BLでは、この差が蓄積する。Claude Projectsの使い方はClaude Projectsで小説を書く方法——長編でもキャラがブレない設定管理術で詳しく解説している。

Claudeで「行間で語るBLシーン」を生成するプロンプト設計

演出ルール: Claudeの「いい話」着地を防ぐ

Claudeは放っておくと、感情を説明して「温かい気持ちが伝わった」で着地する。BLに必要なのはその逆——「何も言わないのに伝わる」状態だ。

プロンプトの冒頭に以下を追加する。Claudeは最初に読んだ指示に強く影響されるため、演出ルールはキャラ設定より前に置く。

【演出ルール】
- 感情は説明しない。表情・沈黙・動作・セリフだけで表現する
- 「嬉しかった」「胸が熱くなった」のような心情説明は禁止
- 感情が高ぶるほど言葉を少なく、動作を小さくする
- 「いい話」で終わらせない。余韻を残して切る

演出ルールを入れるだけで出力が変わる。

演出ルールなし 白石は鷹野の手の大きさに気づいて、なぜかドキドキした。自分の気持ちに戸惑いながらも、「鷹野さんの手、かっこいいっすね」と素直に言った。鷹野は照れくさそうに「くだらないこと言うな」と返したが、内心では嬉しかった。

演出ルールあり 白石は壁を塗る鷹野の右手を見ていた。左手がコテを支え、右手が一定のリズムで漆喰を伸ばしていく。その指が、ほんの一瞬だけ止まった。 「……何見てんだ」 「いや、なんでもないっす。なんでも」 白石は自分の手を見た。鷹野の半分くらいしかない。——それが、なぜ今気になるのか。ペットボトルのキャップを回しながら、答えが出ないまま現場を出た。

▶ 変えたのは「感情を直接説明する代わりに、手の大きさと沈黙で距離感を暗示する」だけ。beforeの「ドキドキした」「嬉しかった」が消え、代わりにペットボトルのキャップが感情を運んでいる。

AI臭い表現の消し方はAI小説の「AI臭い」を直す3つの方法——感情説明をやめるだけで文章が変わるでさらに掘り下げている。

感情密度を5段階で制御する

BLシーンには温度がある。日常会話と、感情が決壊する直前では、プロンプトの設計が違う。

以下のテンプレートで、Claudeの出力密度を段階的にコントロールできる。

【感情密度: レベル{1-5}/5】

レベル1(日常): テンポ重視。セリフ多め、地の文少なめ。2人は意識していない
レベル2(意識): セリフの間に動作を1つ挟む。視線の動きが入り始める
レベル3(揺れ): セリフとセリフの間に沈黙が生まれる。物理的距離の描写が増える
レベル4(臨界): セリフが短くなる。1文の情報密度が上がる。身体の反応が出る
レベル5(決壊): セリフはほぼない。動作と呼吸だけ。1行が重い

シーン指示に「感情密度: レベル3/5」と書くだけで、Claudeの出力の温度が変わる。数字で指定することで、感覚的な指示(「もっとエモく」)より出力が安定する。

シーン生成プロンプトの実例

キャラ設定と演出ルールを踏まえた、シーン生成プロンプトの全体像がこれだ。

【シーン指示】

■ 場所: リフォーム中のマンション。午後5時。作業終了間際。西日が壁に当たっている。

■ このシーンのゴール:
白石が鷹野への感情を初めて自覚しかける

■ 感情の方向:
白石: いつもの軽さ → 動揺(自分の言葉に自分で気づく)
鷹野: 無表情 → 一瞬だけ、手が止まる

■ 感情密度: レベル3/5

■ 禁止事項:
- 白石に告白させない
- 鷹野に笑顔を見せさせない
- 2人を体が触れ合う距離にしない
- 「好き」「特別」のような単語を使わない

「何を書かないか」を指定するのがClaudeのBL出力を引き出すコツ。「告白させない」と縛ると、Claudeは告白以外の方法で感情を表現せざるを得ない。「笑わせない」と縛ると、笑顔以外の表情で気持ちを見せるしかない。制約が「行間」を生む。

実践: Claude×BL短編を1本書き上げるフルフロー

フロー1: キャラ設定シートを2枚作る

攻め・受けそれぞれ、口調ルール・関係性・矛盾の3層を埋める。「あとで決める」はNG——Claudeは空欄を勝手に補完するため、制御不能になる。

2枚目の設定シートを書くときのコツは、1枚目との「ズレ」を意識すること。攻めが「セリフが長い」なら受けは「短い」。攻めが「感情を隠せない」なら受けは「隠しすぎる」。この非対称性がBLの緊張感を生む。

フロー2: 全体の構成を3幕で設計する

短編BLなら3幕で十分。Claudeにプロットを丸投げするのではなく、骨格は自分で決めてからClaudeに肉付けさせる。

【短編BL 3幕構成テンプレート】

■ 第1幕(導入・接近):
2人がいつもの距離で接する日常。読者だけが「何かある」と気づく
感情密度: レベル1-2

■ 第2幕(揺れ・自覚):
日常が崩れるきっかけ。片方が自分の感情に気づく(認めるとは限らない)
感情密度: レベル3-4

■ 第3幕(余韻):
関係が変わる——ただし言葉にはしない。行動だけが変わる
感情密度: レベル2(あえて抑える)

■ 最後のシーンの設計:
- 告白で終わらない
- 小さな行動の変化で「何かが始まった」ことを暗示する
- 読者が「この先どうなるの」と想像する余白を残す

第3幕で感情密度を「あえて下げる」のがポイント。クライマックスの後に静かなシーンを置くと、読者の中で余韻が膨らむ。Claudeは密度を下げる指示にも正確に従う。

フロー3: 幕ごとにシーンを生成する

1幕ずつClaudeに書かせる。 1度に全部書かせると、後半で設定がブレる。幕ごとに区切り、前の幕の出力を確認してから次の幕を指示する。

各幕でシーン生成プロンプト(ゴール・感情の方向・感情密度・禁止事項)を指定する。前の幕で起きた出来事を「前回のあらすじ」としてプロンプトに含めると、連続性が保たれる。

フロー4: 推敲プロンプトで仕上げる

Claudeは自分の出力を推敲させることもできる。ただし「もっと良くして」は効かない。具体的なチェックリストを渡す。

【推敲指示】
以下の観点で、今の出力を修正してください。

1. 感情を直接説明している箇所(「嬉しかった」「胸が痛んだ」等)→ 動作・視線・沈黙に書き換える
2. 攻め(白石)と受け(鷹野)の口調が口調ルールからブレている箇所を修正する
3. 「いい話」でまとまっている箇所 → 余韻を削り、沈黙か動作で終わらせる
4. セリフが3行以上続いている箇所 → 間に地の文(動作・視線・間)を1つ挟む
5. 「温かい」「優しい」「幸せ」が出現していたら削除する

このチェックリストを渡すだけで、Claudeは自分の「いい話着地」を自分で修正する。BL短編をChatGPTで書くフローはChatGPTでBL短編を書く方法——1万字の短編を設計する4ステップで解説している。Claude版と比較すると、ツールごとの使い分けが見えてくる。

Claude×BL執筆で起きる5つの壁と突破法

壁1: 口調が5ターン目でブレる

Claudeの癖。キャラ設定を渡しても、5〜10ターン後に口調が「Claude標準」の丁寧語に戻る。

突破法: 幕の区切りごとに口調リマインドを送る。

【口調リマインド — 白石蓮】
- 一人称: 俺
- 語尾: 〜っすよ、〜じゃないですか
- 特徴: 長い。沈黙に耐えられない
- 禁止: 「別に」「どうでもいい」

Claude Projectsのknowledgeに口調ルールを入れていても、リマインドは別途必要。knowledgeは「参照」であって「強制」ではない。

壁2: クライマックスで説明文に戻る

感情的なシーンほど、Claudeは「安全」な書き方に戻る。クライマックスで突然「2人の間に温かい感情が流れた」と書き始める。

突破法: 感情密度レベル4以上のシーンでは、演出ルールに加えて以下を追加する。

- このシーンの最後の1行は「動作」で終わること
- 心情説明を書きそうになったら、代わりに「手」「視線」「呼吸」のいずれかで表現すること

壁3: 全員が「いい人」になる

Claudeは倫理的にバランスの取れた出力を好む。攻めが強引なシーンを書かせると、すぐフォローの言葉を入れてくる。

突破法: 「欠点はストーリー上の必要な要素」と明記する。

- 白石の欠点: 相手の気持ちを確認せず距離を詰める。悪気がない分、たちが悪い
- この欠点はストーリー上の重要な要素。矯正しないこと。欠点を通じて関係性が動く

壁4: 出力が途中で止まる

長めのシーンを書かせると、2,000字程度で出力が途切れる。

突破法: 「800字で」「セリフ5つ以内で」と上限を数字で指定する。短いシーンを積み重ねる方が、Claudeの出力品質は安定する。途切れ問題の詳しい対策はClaudeの小説が途切れる原因と対策——長文を最後まで書かせる4つの方法を参照。

壁5: R-18描写の制限

Claudeはセンシティブな描写に対するガードが固い。直接的な表現を求めると拒否される場合がある。

突破法: 「暗転」と「余韻」で設計する。

- このシーンは「暗転」で処理する。直接描写は書かない
- 暗転前の最後の描写: 物理的な接触の「直前」で切る
- 暗転後の最初の描写: 2人の距離感や視線が「変わった」ことだけ示す

BLの「行間で語る」美学と合致するため、制約をクリエイティブに活用できる。言葉にしないからこそ読者の想像力が動く——その構造は、Claudeの制約と相性がいい。

まとめ

ClaudeでBL小説を書くカギは、Claudeの「密度型」の出力特性を活かすプロンプト設計にある。

  1. キャラ設定を3層で構造化する — 口調ルール・関係性・矛盾。この3層がClaudeの「行間」を生む
  2. Claude Projectsで設定を永続化する — 毎回のコピペが不要になり、長編でも設定が持続する
  3. 感情密度を数字で制御する — レベル1〜5の段階指定で、シーンごとのメリハリをつける
  4. 「何を書かないか」を指定する — 禁止事項がClaudeの表現を引き出す。制約が行間を生む

このテンプレート構造のフルキット(攻め受け設定シート・演出ルール・シーン生成プロンプト・推敲チェックリスト)はBL Prompt Kit(BOOTH)でダウンロードできる。Claude・ChatGPT両対応、BL版・夢小説版・汎用版の3ジャンル分の記入例付き。

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CharaNote開発日記

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